ノコギリヤシと亜鉛を併用すると育毛効果は上がるのか|医学的根拠の有無を解説します

サプリは医薬品とは違い、サプリ自体の効果を検証する義務はありませんが、配合されている成分の中には働きや効果が研究されているものもあります。ノコギリヤシと亜鉛はそれぞれ単独のサプリだけではなく、ノコギリヤシと亜鉛が一緒に配合されているサプリも販売されています。
ここでは、「ノコギリヤシ」「亜鉛」それぞれに期待される効果や、ノコギリヤシと亜鉛を併用して効果が増強する可能性について解説していきます。また、ノコギリヤシと亜鉛に加えて配合されることのあるビタミンや大豆イソフラボンなどの効果についても説明していきます。

Okada
岡田 里佳 医師監修
TMクリニック院長、日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医、日本内科学会認定 認定内科医、日本リウマチ学会認定 リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定 アレルギー専門医

目次

  1. 01 ノコギリヤシと亜鉛が一緒に配合されたサプリがある理由
  2. 02併用されることのあるビタミン、大豆イソフラボン、リジンの効果
  3. 03おわりに

ノコギリヤシと亜鉛が一緒に配合されたサプリがある理由

ここがポイント!

  • ノコギリヤシには前立腺肥大症とAGAの症状の改善を示した論文報告がある
  • 亜鉛は髪の毛や頭皮の健康をサポートする働きがある
  • ノコギリヤシと亜鉛はともに発毛や育毛に関与する成分であるため、一緒に配合されたサプリが販売されている
  • しかし併用による増強効果を検証した論文はなく、現在のところ医学的根拠はない

ノコギリヤシサプリに期待される効果

ノコギリヤシはノコギリのようにギザギザした葉がついたヤシ科の植物であり、欧米諸国では昔から果実自体や果実から抽出されたエキスに頻尿改善などの効果があるとして使用されてきました。実際にノコギリヤシには前立腺肥大の発症に関与している「ジヒドロテストステロン(DHT)」の産生を抑制する作用があり、前立腺肥大の症状改善に効果があったことを示した論文報告があります。一方で効果を否定する論文報告もあり、明確な有効性は明らかではありません。
さらに、最近ではDHTが発症要因であるAGAについても、ノコギリヤシを飲むと症状の改善が見られたという論文報告があり、AGAに対する育毛効果が期待されています。しかし検証が不十分であり、やはりまだ明確な有効性は示されていません。

ノコギリヤシのサプリについて詳しくは「【ノコギリヤシサプリの効果について】男性の育毛・頻尿対策サプリとして用いられる理由~女性への効果や副作用についてまで解説」をご参照ください。

亜鉛サプリに期待される効果

髪の毛の主成分はタンパク質であり、亜鉛にはそのタンパク質の合成をサポートする働きがあります。さらに皮膚や粘膜を良好な状態に保つ働きもあります。つまり亜鉛には髪の毛や頭皮を健康に保つ働きがあると言えます。そのため、重症な亜鉛不足の場合に脱毛などの症状が現れることがあります。このような背景から、毛の成長促進を目的とした亜鉛サプリが販売されています。

私たちの体には亜鉛の貯蔵システムがないので、亜鉛を毎日摂取することが必要です。亜鉛は一部の食品など含まれており、通常の食生活を送っている健康な成人であれば不足する可能性は低いと言えます。しかし消化器疾患がある人、アルコール依存症、妊婦、乳児などで不足しやすいと言われています。一方で、過剰摂取により健康に悪影響を及ぼす可能性もあり、注意が必要です。

2017年3月に医薬品としての亜鉛製剤(ノベルジン)が「亜鉛欠乏症」という病気に対して、使用可能となりました。また、病院では血液検査で自分の血液中の亜鉛の数値を測定することができます。血液中の亜鉛が低値であり、脱毛が進行している場合などは、医師と相談のうえ亜鉛製剤を摂取することをお勧めします。

なぜ併用されるのか

一部のインターネットのサイトなどでは、ノコギリヤシと亜鉛を併用することで効果が増強すると宣伝しているものがあります。しかし、ノコギリヤシと亜鉛の併用による効果を検証した医学論文は今のところ報告されておらず、したがって併用による増強効果については医学的根拠があるとは言えません。ノコギリヤシと亜鉛が一緒に配合されたサプリを使用する場合にはこのことを理解しておきましょう。

亜鉛の吸収が障害されるなどで、体内の亜鉛が著明に足りなくなると、脱毛・下痢・皮膚炎を特徴とした腸性肢端皮膚炎という病気になる可能性があります。

参考


脱毛症診断チェック

併用されることのあるビタミン、大豆イソフラボン、リジンの効果

ここがポイント!

  • ビタミンB群には皮膚や髪の毛の健康を維持する役割があり、髪の毛の成長促進を目的に併用されることがある

ビタミン

ビタミンは、体の機能を正常に保つために必要な栄養素です。しかし、体内で合成することがほとんど出来ないため、食事から摂取する必要があります。ビタミンの中でも「ビタミンB群」は、「脂質・糖・タンパク質(三大栄養素)の代謝」や「エネルギー産生」を助ける働きがあり、皮膚や髪の毛の健康を維持する役割を担っています。しかしAGAに効果があったとする医学的な根拠はありません。

大豆イソフラボン

大豆イソフラボンとは、主に大豆に多く含まれる成分です。化学構造が女性ホルモン(エストロゲン)に似ており、エストロゲン受容体に結合するため、植物エストロゲンの1つと言われています。骨粗しょう症の予防や更年期障害の軽減などに効果的であるという複数の論文報告がありますが、発毛・育毛効果に関してはAGAの診療ガイドライン、日本皮膚科学会のホームページ、そのほか日本の厚生労働省などの国家機関のホームページ等での記載は見られません。
このような点から、大豆イソフラボンのAGAにおける育毛・発毛効果については今のところ医学的根拠がないと考えます。

リジン

リジンは、私たちの体を作る役割を持つ「タンパク質」の構成成分である「アミノ酸」の一種です。体内で合成することが出来ないため、食事から接種しなければならない「必須アミノ酸」に分類されます。
リジンの発毛・育毛効果については大豆イソフラボンと同様に、AGAの診療ガイドライン、日本皮膚科学会のホームページ、そのほか日本の厚生労働省などの国家機関のホームページ等で記載されていません。
このような点から、リジンのAGAにおける発毛・育毛効果については今のところ医学的根拠がないと考えます。

参考


おわりに

ノコギリヤシにはAGA改善の効果、亜鉛には髪の毛や頭皮を健康に保つ働きがあることから髪の毛の成長を目的に一緒に配合されたサプリメントが販売されています。しかし、ノコギリヤシにはAGA改善に対する明確な医学的根拠がないこと、亜鉛は健康な成人では欠乏している可能性が少ないこと、併用したことによる効果の増強についても医学的根拠がないことを念頭におく必要があります。ノコギリヤシと亜鉛のサプリを利用する場合は、このことを理解しておきましょう。医学的に検証された発毛・育毛効果を期待するのであれば、医療機関への受診や医薬品の使用を考えることをお勧めします。

円形脱毛症・前頭脱毛症などの脱毛症でお悩みの方へ

Okada
岡田 里佳 医師
TMクリニック院長、日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医、日本内科学会認定 認定内科医、日本リウマチ学会認定 リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定 アレルギー専門医

プロフィール

2008年名古屋市立大学医学部卒業。内科を中心に初期研修を行い、その後皮膚科へ進む。大学病院での勤務を経て、皮膚疾患を合併しやすいアレルギー・膠原病診療を経験するため、約3年間内科医として勤務。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医、日本内科学会認定内科医、日本リウマチ学会認定リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定アレルギー専門医を取得。2017年11月、誰にでも最適な医療を提供するためTMクリニック 皮フ科を開設。

この記事の情報の信憑性について

オンラインクリニックでは、医療従事経験者による記事編集、専任の監修医を設けることにより信頼性のある情報提供を心がけておりますが(詳細は「運営方針」をご確認ください)、ユーザーの方ご自身、またはご家族の具体的な医療上の問題を解決する必要がある場合には、医療機関へ相談されるか、または受診をするようにしてください(詳細は「利用規約」をご確認ください)。

記事についてのお問い合わせ