【ノコギリヤシの育毛効果とは】AGAに対する効果を医学的根拠を基に解説します

日本ではあまり馴染みのない「ノコギリヤシ」ですが、欧州では以前から前立腺肥大症に伴う頻尿などの症状に効果的であるとして使用されています。また、最近では育毛効果もあることからノコギリヤシエキスが配合された育毛剤やサプリメントが販売されています。
ここではなぜノコギリヤシが育毛に効果があるのか、またノコギリヤシエキスが配合された育毛剤やサプリメントにはどのような商品があるのか、さらに育毛剤とサプリメントの効果には違いがあるのかなど、ノコギリヤシの育毛効果について詳しく解説していきます。

Okada
岡田 里佳 医師監修
TMクリニック院長、日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医、日本内科学会認定 認定内科医、日本リウマチ学会認定 リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定 アレルギー専門医

目次

  1. 01ノコギリヤシが育毛に効果がある理由
  2. 02育毛剤・サプリメントそれぞれの用量(摂取量)について
  3. 03育毛剤とサプリはどちらが効果的か
  4. 04まとめ

ノコギリヤシが育毛に効果がある理由

ここがポイント!

  • ノコギリヤシエキスがAGAの発症に関与しているDHTを減少させた論文報告がある
  • ノコギリヤシエキスには毛包の炎症を抑える効果を示した論文報告もある

ノコギリヤシの果実から抽出されたエキスには「育毛効果」があると期待され、育毛サプリメントとして販売・使用されています。ここではなぜ育毛効果があると期待されているのか、その医学的な根拠について解説していきます。

AGAの発症に関与している「DHT」を減少させた論文報告がある 

脱毛を引き起こす病気の一つに「男性型脱毛症(AGA)」があります。AGAは男性ホルモンの一種である「ジヒドロテストステロン(DHT)」の影響により、前頭部や頭頂部の髪の毛が薄くなります。そのためAGAの治療では、DHTを減少させる作用のある医薬品(フィナステリド、ザガーロ)が使用されていますが、ノコギリヤシにも同様の作用があると示した論文があります。

AGAについて詳しくは「【男性注目のサプリ「ノコギリヤシ」とは】AGAや頻尿の改善効果が期待される理由や女性の使用~髪や腎臓に対する副作用の可能性などまで」をご参照ください。

ノコギリヤシにもDHTの産生を抑える作用があるという論文(1998年イタリアより)
前立腺肥大症の人にノコギリヤシエキスを1日320mg、3カ月間飲んでもらい、患部(前立腺)におけるDHT量の変化を調べました。その結果、ノコギリヤシエキスを飲んだグループは飲んでいないグループに比べてDHT量の減少が見られました。この研究では前立腺におけるDHT量の変化を評価しており、頭皮での結果を示したものではありませんが、このような背景からノコギリヤシサプリが前立腺肥大や脱毛を引き起こすDHTの産生抑制効果があると期待されています。

脱毛を引き起す毛包の炎症を抑える効果を示した論文報告もある 

AGAの発症要因として、先ほど解説したDHT以外にも毛包の慢性的な炎症が関与するのではないかとする報告もあります。そして、ノコギリヤシには毛の炎症に関与する遺伝子の働きを抑える効果があると実験レベルで報告されています。しかし、実際に人に投与した場合、どのような抗炎症効果を示すかは明らかではありません。

このように、ノコギリヤシはDHTや毛包の慢性的な炎症など脱毛を引き起こす要因を抑制するという研究報告が出されていることから、育毛効果が期待されています。

参考


ノコギリヤシ成分が含まれる育毛関連商品

ノコギリヤシエキスが配合されている商品には、主に育毛剤とサプリメントがあります。サプリメントには、頻尿対策を目的としたものもありますが、ここでは育毛を目的としたノコギリヤシエキス配合商品について、育毛剤・サプリメント、それぞれを一覧表にしました。
商品を製造している会社が示す、ノコギリヤシの1日の摂取目安量に加えて、ノコギリヤシエキス以外の成分に関しても一部ですが、まとめてあるので参考にしてみてください。

育毛剤

商品名 製造企業 ノコギリヤシ含有量(1日目安量あたり) その他の成分
フェルサスカルプジェル アイリンクス 記載なし 水(電解還元水含む)、エタノール、ケイ酸(Na/Mg)など

サプリメント

商品名 製造企業 ノコギリヤシ含有量(1日目安量あたり) その他の成分
ノコギリヤシエキス含有食品 ソーシャルテック 記載なし フィーバーフュー(ナツシロギク)、 亜鉛酵母 、唐辛子など
スカルプDサプリメントノコギリヤシ アンファー 340mg 記載なし
フェルサノコギリヤシミレットサプリ アイリンクス 100mg ミレットエキス、ケラチン加水分解物、デキストリンなど
グロウスプロジェクト ボストン エスロッソ 記載なし ゼラチン、サフラワー油、フィッシュコラーゲンペプチドなど
ぐんぐん(gungun) 美彩 記載なし 還元麦芽糖水飴、デキストリン、菊芋など

頻尿対策も含めたノコギリヤシサプリの効果について詳しくは、「【ノコギリヤシサプリの効果について】男性の育毛・頻尿対策サプリとして用いられる理由~女性への効果や副作用についてまで解説」を参照してください。

ノコギリヤシの有効性は、AGAより前立腺肥大症で多く示されていますが、それでも前立腺肥大症のガイドラインでの推奨グレードは、C2(有効性を支持する根拠は乏しい、安全性の保証も不確実で、患者負担も高い)となっています。

脱毛症診断チェック

育毛剤・サプリメントそれぞれの用量(摂取量)について

ここがポイント!

  • ノコギリヤシ配合の育毛剤は、ノコギリヤシエキスの配合量を記載していない
  • サプリメントは1日あたり1~3粒が目安で、ノコギリヤシエキスの量は100mgや340mgがある
  • ノコギリヤシの配合量を記載していない商品もある。

育毛剤

前の章で紹介している育毛剤は、1日2回(朝と夜)の2回、1回1mL~1.5mL(4~6滴)を目安に頭皮に付けて使用します。一回の目安量にノコギリヤシがどの程度含まれているかは記載されていません。

サプリメント

サプリメントは1日1~3粒程度を目安にして飲むよう記載されています。ノコギリヤシの量が記載されているものでは1日の目安量あたり100mgもしくは340mgがあります。
同じノコギリヤシ配合のサプリメントでも、育毛を目的としたものではなく、頻尿対策を目的としたものでは、1日の目安量に含まれるノコギリヤシの量を320mgとしているものが多いです。これはノコギリヤシに関する研究で、対象者に1日あたりノコギリヤシ320mgを飲んでもらい経過観察をしたものが多いからだと考えられます。

目安よりも多い量だと効果があがるのか、などというノコギリヤシの摂取量と効果については今のところ詳しく研究されていません。そして、不必要に摂取量を増やすと安全性への影響が出てくる可能性もあり、大量に摂取することが良いとは言えません。


ノコギリヤシの摂取量について詳しくは「【ノコギリヤシの摂取量について】AGAにおける育毛効果を期待したい場合に適切な量はあるのか」の記事をご参照下さい。

育毛剤とサプリはどちらが効果的か

ここがポイント!

  • ノコギリヤシエキスが配合された育毛剤とサプリはいずれも医薬品でなく、効果や安全性が明確ではない
  • 育毛剤とサプリのどちらがより効果的であるかは、今のところ明らかではない

ノコギリヤシエキスが配合された育毛剤とサプリメントでは効果に違いがあるのか見ていきましょう。

「育毛剤」と「サプリ」の定義

育毛剤は「毛を生やす」目的ではなく、「すでにある毛を成長させたり、脱毛を予防する」ことを目的としています。よって、しっかり効果が証明されているミノキシジルが配合されているリアップなどの一部の製品を除く多くの育毛剤は、医薬品ではなく医薬部外品であるものが多いです。ノコギリヤシエキスが配合された育毛剤は医薬部外品ですが、育毛剤の中には有効成分が少なく医薬部外品にもならないものもあります。

※医薬部外品とは
薬事法第2条第2項で定められた項目に準じ、厚生労働大臣が定めたもの。有効成分の記載が義務付けられている。

日本で唯一製造販売が認可されているミノキシジル配合薬について詳しくは「【ミノキシジル(リアップ)の効果と副作用】AGA外用薬の基本からフィナステリド(プロペシア)との併用、ロゲインやタブレットの使用まで」をご参照ください。

サプリメントは医薬品とは明確に区別されており、分類としては健康食品に当たります。その中でも「特定保健用食品(トクホ)」などのように、国によって基準や定義が定められ、人への作用を表示することを許可されたもの以外の、定義や基準などがなく機能表示が許可されていないものに分類されます。つまり、サプリメントは病気を治すものではなく健康食品の1つという位置付けです。

両方とも医薬品ではなく、その効果は保証されない

ノコギリヤシエキスが配合された育毛剤もサプリメントも基本的には医薬品ではなく、有効性や安全性についての医学的根拠が明確ではありません。購入する際にはこのことを理解した上で、医薬品と同時に使用する場合などは、医師や薬剤師に相談するようにしましょう。また、確実な効果を期待するのであれば医薬品を使用することをお勧めします。

サプリメント、育毛剤のどちらがより効果的かは明らかではない

ノコギリヤシエキスを配合したサプリメントを飲み、毛髪量の増加を示した報告や、ノコギリヤシエキスが配合された塗り薬を使って、毛髪量の増加を示した報告がそれぞれあります。しかし、飲み薬と塗り薬で比較した研究はなくどちらがより効果的であるかは、今のところ明らかではありません。

参考


脱毛症診断チェック

まとめ

ノコギリヤシにはAGAの原因とされている「DHT」を減少させたと示す論文報告に加えて、実際にAGAを発症した人がノコギリヤシエキスを飲んで症状が改善したとする論文報告もあります。さら脱毛の要因の一つと考えられている「毛包周囲の慢性的な炎症」の抑制を示した論文報告もあります。このような作用や、実際に脱毛症状を改善させたとする論文報告があるためノコギリヤシに育毛効果があるとされています。ノコギリヤシを配合した商品には「育毛剤」と「サプリメント」がありますが、どちらも医薬品ではないため、効果や安全性が明確なものではありません。育毛剤とサプリメントでどちらがより効果的であるか、ノコギリヤシの摂取量が多ければ多いほど効果的であるのかということは今のところ明らかではありません。ノコギリヤシが配合された商品はこれらのことを理解した上で使用するようにしましょう。

円形脱毛症・前頭脱毛症などの脱毛症でお悩みの方へ

Okada
岡田 里佳 医師
TMクリニック院長、日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医、日本内科学会認定 認定内科医、日本リウマチ学会認定 リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定 アレルギー専門医

プロフィール

2008年名古屋市立大学医学部卒業。内科を中心に初期研修を行い、その後皮膚科へ進む。大学病院での勤務を経て、皮膚疾患を合併しやすいアレルギー・膠原病診療を経験するため、約3年間内科医として勤務。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医、日本内科学会認定内科医、日本リウマチ学会認定リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定アレルギー専門医を取得。2017年11月、誰にでも最適な医療を提供するためTMクリニック 皮フ科を開設。

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