【ノコギリヤシの摂取量について】AGAにおける育毛効果を期待したい場合に適切な量はあるのか

薄毛が気になる人を対象とした商品にはさまざまな種類があり、その中の1つに「ノコギリヤシ」が配合された育毛剤やサプリメントがあります。ノコギリヤシはノコギリのようなギザギザした葉が付いている植物です。その果実から抽出されたエキスには、AGAの症状を改善させる育毛効果が期待されています。ここでは、ノコギリヤシの育毛効果を得るためには1日にどれくらいのノコギリヤシエキスを摂取すればいいのかについて解説してきます。また、女性の摂取量の目安はあるのかについても併せて確認していきましょう。

Okada
岡田 里佳 医師監修
TMクリニック院長、日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医、日本内科学会認定 認定内科医、日本リウマチ学会認定 リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定 アレルギー専門医

目次

  1. 01ノコギリヤシとAGAにおける育毛効果
  2. 02育毛効果を得るための1日の摂取量目安はあるのか
  3. 03ノコギリヤシの摂取量に上限はないのか
  4. 04女性の場合の摂取量目安はあるか
  5. 05まとめ

ノコギリヤシとAGAにおける育毛効果

ここがポイント!

  • ノコギリヤシエキスにはAGAの原因である「DHT」の産生抑制効果があると示した論文報告がある
  • ノコギリヤシエキスを飲んで毛髪数の増加が見られたという論文報告も複数ある

ノコギリヤシがなぜ育毛に効果的であると宣伝されているのかについて解説していきます。

ノコギリヤシの果実から抽出されたエキスは、以前から前立腺肥大による頻尿などの症状改善に効果があるとされ、現在欧州では医薬品として認可されています。その根拠として、ノコギリヤシエキスには前立腺肥大症に関与している男性ホルモン「ジヒドロテストステロン(DHT)」の産生を抑制する効果を示した論文報告があります。

男性ホルモンの一種であるDHTは「男性型脱毛症(AGA)」に関与していることが明らかになっています。そのためDHTの産生を抑える作用のあるノコギリヤシエキスは、AGAにも効果的であると期待されています。実際、米国やタイ、イタリアなどで行われた研究ではAGAの男性にノコギリヤシエキスを一定期間飲んでもらうと、毛髪数が増加したという論文報告が出ています。

ノコギリヤシの育毛効果について詳しくは、「【ノコギリヤシの育毛効果について】有効成分とメカニズムおよび摂取量~実際に含まれている育毛剤やサプリの紹介まで」をご参照ください。
AGAについて詳しくは「【AGA(男性型脱毛症)とは】症状・原因・予防法〜病院・AGA専門外来での検査・診断・治療そして気になる費用までを解説」
脱毛症診断チェック

育毛効果を得るための1日の摂取量目安はあるのか

ここがポイント!

  • 育毛効果があった摂取量は1日1回320mg
  • 前立腺肥大症の治療で効果があった摂取量は320mg(160mgを1日2回)

育毛効果を期待する場合、1日あたりのノコギリヤシ摂取量に目安はあるのでしょうか。以下の2つの論文報告と、前立腺肥大症に対して推奨される摂取量を元に解説していきます。

育毛効果が期待される摂取量についての論文報告

①2002年 米国より
AGAを発症している23~64歳の男性10人にノコギリヤシエキス(200mgを1日2回)を飲んでもらった結果、6人に改善が見られたという結果を報告をしています。

②2012年 イタリアより
AGAを発症した男性100人を2つのグループに分け、一方には「ノコギリヤシエキス320mg(1日1回)」を、もう一方には「フィナステリド1mg(1日1回)」を24カ月間飲み続けてもらったところ、ノコギリヤシエキスを飲んだグループは38%、フィナステリドを飲んだグループは68%の人に発毛・育毛効果があったという結果を報告しています。

一方、前立腺肥大症の頻尿などの症状については、ノコギリヤシ160mgを1日2回飲んでもらった結果改善を示したとする論文報告が多くあります。よって前立腺肥大による症状の改善を得るためのノコギリヤシの1日摂取量は、320mg(160mgを1日2回)が目安であると言えます。
ノコギリヤシの副作用の出現頻度はとても少ないと言われていますが、その根拠となっている研究報告での摂取量は、1日あたり320mgとなっています。よって、この標準的な内服量より多く内服した場合、どのような副作用が出現するかについては明らかではありません。

前立腺肥大症による頻尿などの症状の対するノコギリヤシの効果や摂取量についての研究報告は多数ありますが、それに比べてAGAに対するノコギリヤシの効果や摂取量についての研究報告は少ないです。よって、AGA改善に効果を得るための摂取量の目安を想定できるほどの、根拠がないのが現状でしょう。デュタステリドのように前立腺肥大症とAGAに共通して使用される薬では、1日あたりの摂取量が同量であることから、ノコギリヤシもそれに準じて、想定するしかありません。
このような背景から、ノコギリヤシの育毛効果を得るための1日の摂取量は320mg程度が目安であると言えます。しかし、育毛を目的としたノコギリヤシ配合の育毛剤やサプリは、配合量が100mgや340mg、もしくは記載がないものもあります。また、「1日あたりノコギリヤシ320mg」というのは目安であり、それ以上摂取すると効果的なのか、また目安よりも少ない量だと効果が低下するのかなどというノコギリヤシの摂取量と効果の変化については詳しく研究されていないのが現状です。また不必要に摂取量を増やすと、安全性への影響が出てくる可能性もあります。
こういったことを理解した上で、ノコギリヤシが配合された商品を選択する必要があります。

デュタステリドの1日摂取量も、前立腺肥大症とAGAでは同じ量です。ノコギリヤシについても、これまでの論文報告を踏まえて、前立腺肥大症とAGAの1日摂取量は同じで良いと考えます。

参考


ノコギリヤシの摂取量に上限はないのか

ここがポイント!

  • 前立腺肥大症の頻尿などの症状改善のために使用されている量は、1日あたり320mgが標準的
  • AGAの男性が、1日あたり400mgを内服し、有効性を検証した論文もある

これまで説明したように、ノコギリヤシの摂取量は1日あたり320mgが標準的と言えます。これは、前立線肥大症の頻尿などの症状改善のために使われている標準的な量であり、AGAに対しては、標準的な量が推定できるほどたくさんの研究報告があるわけではありません。しかし、デュタステリドのように前立腺肥大症とAGAに共通して使用される薬では、1日あたりの内服量は同量とされています(デュタステリドの場合、1日あたり0.5mg)。よって、ノコギリヤシに関しても、前立腺肥大症のために使用される量と同量で良いという考えから、1日あたり320mgを標準的な量としました。どのような薬やサプリメントでも、1日あたりの摂取量を多くすればそれだけ効果が得られるわけではありません。むしろ、標準的と言われている量より多く摂取することによって、副作用の出現頻度が高くなるリスクは十分に考えられます。
ノコギリヤシの副作用はとても少ないとされていますが、この根拠となる研究論文では、1日あたりの内服量はしっかり守られていることが前提となっています。規定量を超えた場合に、どのような副作用がどれくらいの頻度で生じるかは、誰もわかりません。
ノコギリヤシの標準的な摂取量は1日あたり320mgですが、AGAの男性が1日あたり400mg服用し、効果が得られたとする論文もあります。しかし、調べた患者数は6人のみであり、明確な根拠とするにはあまりにも数が少ないと言わざるを得ません。
よって、AGAに対するノコギリヤシの摂取量の上限は、1日あたり320〜400mg程度とするのが妥当でしょう。しかし、効果や副作用には個人差があります。多ければ多いほど効果が高いわけでもありませんので、基本的には推奨されている摂取量を守るようにしましょう。

脱毛症診断チェック

女性の場合の摂取量目安はあるか

ここがポイント!

  • ノコギリヤシの効果を期待出来るのは男性に限らない
  • しかし、女性に対する効果の有無が明確でないため、摂取量の目安もない

AGAは「男性型脱毛症」の略語ですが、女性が発症する場合もあり、それを「FAGA(女性男性型脱毛症)」と言います。ノコギリヤシエキスはAGAの症状改善に効果があると期待されていますが、女性に対しても効果を示す論文報告があります。
イタリアの研究グループは研究対象を男性に限定せず、女性も含めてノコギリヤシエキスの効果を調べました(摂取量は不明)。その結果、ノコギリヤシエキスには毛髪数や毛髪量を増加させる効果があったと示しました。この研究では女性に限定した結果は示されていませんが、女性を含めて効果的であったと示しており、女性にも効果が期待出来る可能性があります。しかし、FAGAは原因や発症のメカニズムが解明されておらず、ノコギリヤシエキスとの関連性も明確にされていません。そのため、女性独自の摂取量の目安については今のところ明確ではありません

FAGAについて詳しくは「【AGAの原因について】原因物質「DHT」が抜け毛スイッチを入れる仕組みから遺伝やストレスの影響・女性のAGAまで」をご参照ください。
ノコギリヤシの女性への効果について研究論文について詳しくは「【男性注目のサプリ「ノコギリヤシ」とは】AGAや頻尿の改善効果が期待される理由や女性の使用~髪や腎臓に対する副作用の可能性などまで」をご参照ください。

参考


まとめ

ノコギリヤシはAGAの発症に関与しているDHTの産生を抑制し、症状を改善したと示す論文報告が複数出ており、育毛効果が期待されています。育毛効果を期待する場合の1日あたりのノコギリヤシ摂取量は、ノコギリヤシの育毛効果に関する研究や、育毛と同じくノコギリヤシが効果的であるとされている前立腺肥大症について研究した論文から、「1日あたり320mg」程度と考えられます。しかし、あくまでも目安量であり、増量もしくは減量したことによる効果や安全性の変化については調べた研究はなく明らかになっていません。また脱毛症は女性も発症しますが、ノコギリヤシの女性に対する効果や摂取量の目安については現在のところ明確ではありません。ノコギリヤシ配合の育毛剤やサプリメントに育毛効果を期待する場合は、これらのことを理解した上で使用するようにしましょう。

円形脱毛症・前頭脱毛症などの脱毛症でお悩みの方へ

Okada
岡田 里佳 医師
TMクリニック院長、日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医、日本内科学会認定 認定内科医、日本リウマチ学会認定 リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定 アレルギー専門医

プロフィール

2008年名古屋市立大学医学部卒業。内科を中心に初期研修を行い、その後皮膚科へ進む。大学病院での勤務を経て、皮膚疾患を合併しやすいアレルギー・膠原病診療を経験するため、約3年間内科医として勤務。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医、日本内科学会認定内科医、日本リウマチ学会認定リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定アレルギー専門医を取得。2017年11月、誰にでも最適な医療を提供するためTMクリニック 皮フ科を開設。

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