【後頭部の薄毛について】医学的に考えられる原因と正しい対策法をご紹介

脱毛症の中でも発症する人が多いAGA(男性型脱毛症)や円形脱毛症などは、脱毛部位やパターンがある程度決まっています。では後頭部に薄毛が出現した場合、どのような原因が考えられるのでしょうか。ここでは後頭部の薄毛の原因、その原因に対する対処法などについて解説していきます。

Okada
岡田 里佳 医師監修
TMクリニック院長、日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医、日本内科学会認定 認定内科医、日本リウマチ学会認定 リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定 アレルギー専門医

目次

  1. 01後頭部の薄毛で考えられる原因  
  2. 02円形脱毛症(蛇行状脱毛症)の治療
  3. 03後頭部の薄毛の隠し方
  4. 04思春期(10代)の子どもがなった場合に親が気を付けたいこと
  5. 05まとめ

後頭部の薄毛で考えられる原因  

ここがポイント!

  • 円形脱毛症では後頭部の薄毛(脱毛班)が出現する可能性がある
  • AGAの症状は前頭部と頭頂部の薄毛であり、後頭部の薄毛の場合AGAは考えにくい
  • ストレス、血行不良と脱毛の関連は医学的に証明されていない

後頭部に薄毛が出現した場合、考えられる脱毛症について解説していきます。

円形脱毛症の可能性はあるか

円形脱毛症の現れ方は様々であり、後頭部にも薄毛(脱毛班)が出現する可能性もあります。
円形脱毛症とは、「自己免疫応答」という免疫の仕組みの異常により免疫細胞が毛根を攻撃して炎症を起こすことにより発症する脱毛症です。いろいろな大きさの円形の脱毛班が、毛が存在する部位になら頭部に限らずどこにでも出現します。そして、脱毛しやすい頭部の部位は決まっておらず、後頭部、側頭部、頭頂部、前頭部などすべての部位で脱毛班が生じる可能性があります。加えて、円形脱毛症の1つである「蛇行状脱毛症(髪の生え際に帯状に脱毛班が出現する)」でも後頭部に薄毛(脱毛班)が出現します。

円形脱毛症について詳しくは「【円形脱毛症(AA)とは】原因・4つの症状・治療など正しく知ろう~ストレスとの関連性やステロイド治療薬、シャンプーのポイント、隠す手段などまで」をご参照ください。

AGAの可能性はあるか

AGAの症状の特徴は「額の生え際の後退」と「頭頂部の薄毛」であるため、AGAでは基本的に後頭部を中心とした薄毛が現れることはありません。思春期以降の男性で後頭部だけが薄毛になった場合は、AGAを発症している可能性は低いと言えます。

他の脱毛症の可能性もある

円形脱毛症やAGA以外にも脱毛を引き起こす病気には、次のようなものがあります。

  • 休止期脱毛(毛周期の中の休止期にあたる毛包の割合が増えてしまうことにより生じる脱毛)
  • 内分泌の異常による脱毛
  • 栄養障害による脱毛
  • 皮膚炎など皮膚の病気による脱毛
  • 薬剤・化学物質による脱毛など

これらの脱毛症でも、後頭部を中心とした薄毛が現れる可能性はあります。

ストレスは原因になるのか

ストレスによって後頭部の薄毛が引き起こされると記載されているものがあります。しかし、ストレスと薄毛の関連については、円形脱毛症においていくつかの研究が発表されていますが、ストレスは人や状況によって感じ方が異なり評価方法が難しく、現在のところは関連性については医学的に証明されていません。

血行不良は原因になるのか

ストレスと同様に、頭皮の血行不良によって後頭部の薄毛になると記載されているものがあります。確かに発毛・育毛のためには、頭皮や髪の毛に十分な酸素や栄養素が血液によって届けられる必要があるため、血行不良によって髪の毛の成長に影響する可能性はあります。しかし、血行不良と薄毛との関連性についても医学的研究がなされておらず、今のところ明らかではありません。

参考


脱毛症診断チェック

円形脱毛症(蛇行状脱毛症)の治療

ここがポイント!

  • 円形脱毛症の治療では「ステロイド局所注射」と「局所免疫療法」が推奨されている
  • 治療を受けられるのは、皮膚科のある病院やクリニック
  • 円形脱毛症の治りやすさには「発症からの経過期間」「脱毛パターン」「脱毛範囲」が関連している

円形脱毛症は治療をしなくても自然に治ることもありますが、治らない場合や進行する場合は適切な治療を行っていく必要があります。ここでは、円形脱毛症に対する治療について解説します。

推奨されている治療方法

日本皮膚科学会は円形脱毛症診療ガイドラインのなかでは、円形脱毛症の治療法を推奨度別に定めており、行うよう勧められる治療法には「ステロイド局所注射」と「局所免疫療法」の2つがあります。

ステロイド局所注射

ステロイド薬には免疫の働きや炎症を抑える作用があります。そのため、脱毛部の皮膚にステロイド薬を直接注射し、毛根周囲の炎症を抑えることで、脱毛の進行を抑制するとされています。

局所免疫療法

局所免疫療法は、かぶれを起こす薬を頭部の脱毛部位に塗り、「かぶれ」という正常な免疫応答を起こすことで発毛を促す治療法です。現時点では、保険外診療であり実施できる施設は限られています。

治療を受けることが出来る病院

円形脱毛症を含む脱毛症は大学病院、一般病院の皮膚科や、皮膚科を標榜しているクリニックで治療を受けられます。また医療機関によっては、「脱毛症専門外来」や「毛髪外来」など、脱毛の治療を専門とした医師が診察を行っている専門外来を設けている場合があります。事前にインターネットや電話などで、治療を行っている病気、治療内容、おおよその金額などを確認してから医療機関に受診することをお勧めします。

治りやすさは症状の出方に影響される(ガイドラインを参考に)

円形脱毛症の治りやすさには主に「発症からの経過期間」「脱毛パターン」「脱毛範囲」が影響していると考えられています。円形脱毛症の診療ガイドラインではアトピー性疾患や自己免疫性内分泌疾患にかかったことがなく、また脱毛を発症して1年以内の通常型脱毛症(髪の毛が部分的に円形に抜ける)では、8割が1年以内に治ったと報告されています。

円形脱毛症の中でも、先ほど示した「蛇行性脱毛症(髪の毛の生え際が帯状に脱毛する)」は通常型脱毛症よりも治りにくいとされています。実際、国内の271人の円形脱毛症の子どもを対象に行われた研究では、15年の間に症状が軽快もしくは完治した割合は、単発型では 80%、多発型では 61%、全頭型では34%、汎発型と蛇行状脱毛症では38%という結果が出ており、子どもを対象とした研究ではあるものの蛇行状脱毛症が治りにくいことが分かります。

円形脱毛症の治療について詳しくは「【円形脱毛症の治療について】ステロイド注射などさまざまな治療法~治るまでの期間や治療費などまで」をご参照ください。
また円形脱毛症の完治の割合などについて詳しくは「【円形脱毛症の完治と再発】完治の過程や再発の原因などについて診療ガイドラインを基に正しく解説」をご参照ください。

参考


後頭部の薄毛の隠し方

ここがポイント!

  • 髪の毛の長い女性の場合、ヘアスタイルを工夫することで脱毛を隠すことが出来る
  • ヘアスタイルでカバー出来ない場合は、かつらの使用を考える
  • かつらは、種類がさまざまあるため自分の希望に合わせて事前に試着してから選択しよう

後頭部の薄毛を隠したい場合、どのような方法があるかご紹介していきます。

女性はヘアスタイルでカバー出来る

男性は比較的短髪の方が多いので薄毛全体を隠すことは難しいですが、女性は長い髪の毛の方が多く、後頭部が薄毛になっても頭頂部周辺の髪の毛で隠すことが出来ます。ヘアゴムで髪の毛を束ねたり、ヘアピンで固定したりするなどヘアスタイルを工夫してみることをお勧めします。

かつらという選択肢も

男性、女性ともにヘアスタイルでカバー出来ない場合は、かつらという選択肢があります。人毛もしくは人工毛という毛の種類や、クリップやテープなどかつらの固定方法、さらにかつらの形などをオーダーメイドにするのか既製品にするのかで見た目、仕上がりまでの期間、値段などが異なります。自分の好みやライフスタイルに合ったものを選択しましょう。

医療用かつらについて詳しくは「【AGAや円形脱毛症でも使う医療用かつら(ウィッグ)とは】男性、女性、子ども用の違いや特徴、値段の相場と医療費控除や保険適用など」をご参照ください。

脱毛症診断チェック

思春期(10代)の子どもがなった場合に親が気を付けたいこと

ここがポイント!

  • 思春期は多感な時期であるため、薄毛が出来ることで人間関係の形成において問題を抱えるケースがある
  • 薄毛で悩む子どもに対しては、治療法の選択・不安の確認・学校での環境調整などに気を付ける

思春期の子どもは多感な時期であるため、周りからどのように見られているかということにとても敏感です。円形脱毛症などによって薄毛になった場合、周りの人からの配慮のない言葉に傷ついて、人間関係の形成において問題を抱えてしまうケースもあります。
子どもの身体的・精神的苦痛を軽減するために、以下のようなポイントを意識して関わるようにしましょう。

・円形脱毛症の治療には効果がある反面、副作用が出現するリスクもあるため、子ども身体精神的成長に悪影響を及ぼさない治療法の選択の配慮する
・子ども自身の円形脱毛症に対する理解を促して、不安や疑問点をこまめに確認して対応する
・子どもが不利益を被らないよう学校関係者などと協力して環境調整をする

子どもの円形脱毛症について、詳しくは「【子どもが円形脱毛症になったら】病院は小児科と皮膚科のどちらへ連れていくべきか~特徴や治療法、親が気をつけるべきポイントなど」をご参照ください。

まとめ

後頭部の薄毛が現れた場合に原因として考えられるのは、円形脱毛症や休止期脱毛症や内分泌障害、栄養障害による脱毛などです。主な脱毛症の1つであるAGAは、症状の出現部位から後頭部の薄毛の原因である可能性は低いと考えられます。また、ストレスや血行不良が後頭部の薄毛に関与しているとする記載もありますが、いずれも脱毛との関連性については現在のところ医学的根拠はありません。
後頭部の薄毛の原因が円形脱毛症であった場合は、対処法として「ステロイド局所注射」や「局所免疫療法」などの円形脱毛症に対して推奨されている治療が行われます。大学病院、一般病院の皮膚科や、皮膚科を標榜しているクリニックで治療を受けられますが、局所免疫療法は保険診療外の治療法であるため、施行できる施設は限られています。医療機関での治療以外にも、ヘアスタイルの工夫やかつらの使用によって後頭部の薄毛をカバーすることも出来るため、原因に対する専門的な治療と合わせて自分の方法を見つけることも大切です。

円形脱毛症・前頭脱毛症などの脱毛症でお悩みの方へ

Okada
岡田 里佳 医師
TMクリニック院長、日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医、日本内科学会認定 認定内科医、日本リウマチ学会認定 リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定 アレルギー専門医

プロフィール

2008年名古屋市立大学医学部卒業。内科を中心に初期研修を行い、その後皮膚科へ進む。大学病院での勤務を経て、皮膚疾患を合併しやすいアレルギー・膠原病診療を経験するため、約3年間内科医として勤務。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医、日本内科学会認定内科医、日本リウマチ学会認定リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定アレルギー専門医を取得。2017年11月、誰にでも最適な医療を提供するためTMクリニック 皮フ科を開設。

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