抜け毛が多いと感じたら|性別(男性・女性)や年代別(子ども・高校生・大人)に考えられる原因と対策

「毎日髪の毛がたくさん抜けてしまうので、薄毛になるのではないか」
頭を洗った時や何気なく髪の毛をブラシで整えた時など、抜け毛の多さが気になったことはありませんか。薄毛を気にしている人は、余計に抜け毛の量が目につくかもしれません。
ここではAGAと円形脱毛症を中心に、抜け毛が増えてきた場合に考えられる原因やその対策について解説していきます。また、1日あたりの正常な抜け毛の本数や、抜け毛が多くなる時期についても解説していきましょう。

Okada
岡田 里佳 医師監修
TMクリニック院長、日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医、日本内科学会認定 認定内科医、日本リウマチ学会認定 リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定 アレルギー専門医

目次

  1. 01何本抜けたら抜け毛は「多い」と言えるのか
  2. 02成人男性で抜け毛が多い場合の原因と対策
  3. 03成人女性で抜け毛が多い場合の原因と対策
  4. 04子どもで抜け毛が多い場合の原因と対策
  5. 05高校生で抜け毛が多い場合の原因と対策
  6. 06脱毛症以外の病気などでも抜け毛が多くなる
  7. 07抜け毛が多い時期や季節はあるのか
  8. 08まとめ

何本抜けたら抜け毛は「多い」と言えるのか

ここがポイント!

  • 1日あたりの正常な抜け毛の本数は「100本程度」
  • しかし、正確な本数をチェックするのは難しく、抜け毛の増加など日々の変化を観察することが大切

髪の毛は10万本程度生えていると言われており、「毛周期(成長期→退行期→休止期)」という一定のサイクルで生え変わっています。毛周期は毛の1本1本で異なりますが、約85%~90%が成長期にあると言われています。
では、どれくらい髪の毛が抜けると「抜け毛が多い」と言えるのでしょうか。日本皮膚科学会のホームページでは1日に100本程度の髪の毛が抜け、新たに100本程度が生えてくると記載されており、正常な抜け毛の目安は1日100本程度と考えられます。
しかし、1日の抜け毛の本数を数えるのは難しく、本数には個人差もあります。そのため抜け毛の本数にこだわるのではなく、これまでと比較して抜け毛が急に増えてないかなど、自分の毛髪の状態を日々チェックすることが大切です

参考


脱毛症診断チェック

成人男性で抜け毛が多い場合の原因と対策

ここがポイント!

  • 原因は主にAGA、円形脱毛症、その他が考えられる
  • AGAに対しては、主に外用、内服療法が行われる
  • 円形脱毛症に対してはステロイド局所注射や局所免疫療法という治療が推奨されている

考えられる原因

AGA(男性型脱毛症)

AGAはDHT(ジヒドロテストステロン)という男性ホルモンが、額の生え際や頭頂部の髪の毛に対して成長を抑制するよう働くことで、成長期が短くなり、髪の毛が細く短くなる脱毛症です。男性が発症すると、「額の生え際の後退」と「頭頂部の薄毛」を引き起こします。
日本皮膚科学会によると、AGAは日本人男性の約3人に1人が発症しており、20歳代では約10%、30歳代では20%、40歳代では30%、50歳代では40%以上というように、年齢を重ねるとともに発症頻度が高くなります

円形脱毛症

円形脱毛症の原因は完全には解明されていませんが、現在最も有力とされている原因は、免疫のバランスが崩れることにより、免疫細胞が自分の細胞を異物だと誤認し、攻撃してしまうという自己免疫応答です。この自己免疫応答が髪の毛を作る細胞に対して行われることにより、脱毛が生じます。脱毛パターンは複数あり、通常型では一部分が円形に脱毛するのが特徴的です。

その他の原因

AGAや円形脱毛症以外にも、次のような原因で抜け毛が多くなる場合もあります。

  • 内分泌の異常による脱毛
  • 栄養障害による脱毛
  • 皮膚炎など皮膚の病気による脱毛
  • 休止期脱毛(毛周期の中の休止期にあたる毛包の割合が増えてしまうことにより生じる脱毛)
  • 粃糠性脱毛症(ふけ症と脱毛が合併したもの)

対策法

抜け毛が増えてきた場合、どのような対策を取るべきか解説していきます。

AGA:基本的に3種類の治療法がある

AGA治療では、主に次のような治療が行われます。

内服薬 AGAの原因であるDHTの産生を抑える「フィナステリド(プロペシアなど)」や「デュタステリド(ザガーロ)」
外用薬 発毛・育毛効果のある「ミノキシジル」
自毛植毛 DHTの影響を受けにくい後頭部から毛包ごと髪の毛を脱毛部へ移植する

AGAの治療について詳しくは「【AGAの治療について】3つの治療方法・期間・薬の効果と副作用から保険適用まで網羅的に」をご参照ください。

円形脱毛症:2種類の治療が推奨されている

日本皮膚科学会は、円形脱毛症に対する治療として次のようなものを推奨しています。

ステロイド局所注射 免疫抑制作用のあるステロイドを脱毛部に直接注射し、過剰な免疫応答を抑える
局所免疫療法 特殊な薬剤により「かぶれ」を起こし、脱毛部での発毛を促す


円形脱毛症の治療について詳しくは「【円形脱毛症の治療について】ステロイド注射などさまざまな治療法~治るまでの期間や治療費などまで」をご参照ください。

その他:脱毛を引き起こす原因を治療する

それぞれの脱毛の原因に対して、治療を行う必要があります。例えば、内分泌異常による脱毛では内分泌機能に対する治療が必要であり、皮膚感染症による脱毛であれば、感染症治療をする必要があります。

局所免疫療法は、SADBE(サドべ)療法とも言われます。公的な保険が適応されていない検査のため、施行できる施設は限られています。治療を希望される方は、受診予定の医療機関でSADBE療法を行っているかについて、事前に聞いておくといいでしょう。

参考


成人女性で抜け毛が多い場合の原因と対策

ここがポイント!

  • 主な原因はFAGA、円形脱毛症、その他が考えられる
  • FAGAに対しては内服薬は無効、外用薬のミノキシジルは1%濃度が推奨されている
  • 円形脱毛症に対してはステロイド局所注射や局所免疫療法が推奨されている

考えられる原因

AGA(FAGA)

女性でもAGAを発症することがあり、男性と区別してFAGA(女性男性型脱毛症)と言われています。FAGAの症状はAGAとは異なり、頭頂部の広い範囲で髪の毛が抜けて薄くなるという特徴があります。またAGAの原因は、男性ホルモンのDHT(ジヒドロテストステロン)であると解明されていますが、FAGAの原因は明らかになっていません。

円形脱毛症

円形脱毛症は年齢や性別に関係なく発症するため、成人女性の抜け毛の原因にもなります。症状は男性と同じで、通常型であれば一部分が円形に脱毛します。

その他

男性と同様に、内分泌の異常や栄養障害などにより脱毛が生じることがあります。また、分娩後に休止期脱毛症を発症することもあります。髪が長い女性の場合は、抜け毛1本が長く、本数が少なくても多いように見えてしまうことがあることも心得ておきましょう。

対策法

FAGAでは内服薬が無効

FAGAの場合、AGAで治療効果があるフィナステリドやデュタステリド配合の内服薬は効果がありません。また、男の子を妊娠している女性がフィナステリドやデュタステリド配合薬を飲むと、胎児の生殖器形成に悪影響を与える可能性があり、妊娠する可能性がある女性や妊婦、授乳中の女性の服用は禁止されています。

また、外用薬は男性と同様にミノキシジルが推奨されていますが、使用濃度は男性では5%であるのに対し、女性では1%が推奨されています。

円形脱毛症:2種類の治療が推奨されている

男性と同じく、ステロイド局所注射と局所免疫療法が推奨されています。

その他:脱毛を引き起こす原因を治療する

男性と同じく、内分泌や栄養などの異常に対する治療を行います。

参考


脱毛症診断チェック

子どもで抜け毛が多い場合の原因と対策

ここがポイント!

  • 原因は円形脱毛症や、その他(トリコチロマニア、アトピー性皮膚炎に伴う脱毛など)が考えられる
  • AGAは思春期以降に発症する脱毛症であり、思春期前の抜け毛の原因にはならない
  • 円形脱毛症に対しては、副作用が出現しやすいステロイド局所注射は推奨されず、局所免疫療法のみが推奨されている

考えられる原因

円形脱毛症

円形脱毛症は年齢に関係なく発症する脱毛症であるため、子どもが発症することもあります。円形脱毛症の中でも髪の生え際が帯状に抜ける「蛇行状(だこうじょう)脱毛症」は、大人よりも子どもの発症率が高いことが分かっています。

その他

成人と同じく、内分泌・栄養などの異常や休止期脱毛症が原因となります。加えて、小児に多い脱毛症として、抑えきれない衝動で自らの手で毛髪を引き抜いてしまい脱毛が生じることがあり、「トリコチロマニア(抜毛症)」と言われています。また、アトピー性皮膚炎の頭皮の湿疹部分に脱毛を伴うこともあります。

AGAは原因ではない

AGAは思春期以降に発症する脱毛症です。そのため、AGAは思春期前の子どもの抜け毛の原因にはなりません。

対策法

円形脱毛症:推奨治療が成人とは異なる

15歳以下の子どもの場合、推奨されている治療が成人と異なります。成人の場合は、「ステロイド局所注射」と「局所免疫療法」の2つが推奨されていますが、子どもの場合には「局所免疫療法」のみが推奨されています。ステロイド局所注射には免疫や炎症を抑える作用がある一方で、多種多様な副作用が現れるため子どもへの使用は適切ではないとされています。日本皮膚科学会は、円形脱毛症の子どもの治療選択においては、子どもの肉体的・精神的成長に悪影響を与えないという点が重要であるとしています

その他

成人と同じく、内分泌機能や栄養などの異常に対する治療を行います。また、トリコチロマニア(抜毛症)の場合は、学校関係者や精神科医などとも協力して治療する必要があります。アトピー性皮膚炎に伴う脱毛の場合は、アトピー性皮膚炎の治療が必要となります。

子どもの円形脱毛症に関して詳しくは「【子どもが円形脱毛症になったら】病院は小児科と皮膚科のどちらへ連れていくべきか~特徴や治療法、親が気をつけるべきポイントなど」をご参照ください。

参考


高校生で抜け毛が多い場合の原因と対策

ここがポイント!

  • 原因としてはAGA、円形脱毛症、その他が考えられる
  • AGAは思春期以降に発症するため、高校生の抜け毛の原因になりうる
  • AGAに効果がある内服薬は、20歳以上が適応であり未成年は使用できない
  • 円形脱毛症に対しては、成人と同じ治療法が推奨されている

考えられる原因

AGA

AGAは思春期以降に発症するため、高校生であれば発症する可能性はあります。しかし、20歳代前半から薄毛の症状が現れることが多いため、高校生では頻度は高くありません。

円形脱毛症

円形脱毛症は子どもから成人まで発症するため、円形脱毛症によって抜け毛が増えている可能性はあります。

その他

成人と同じく、内分泌・栄養などの異常や休止期脱毛症によって脱毛を引き起こすことがあります。頭部のふけ症と脱毛が合併する粃糠性(ひこう性)脱毛症は、思春期以降の男子で好発します

対策法

AGA:未成年では内服薬が使用できない

内服薬(プロペシア、ザガーロ)は、未成年(20歳未満)に対する安全性が確認されていないため使用出来ません。そのため、基本的にはミノキシジル配合の外用薬を中心とした治療が行われます。

円形脱毛症:高校生は成人と同じ治療法

円形脱毛症の診療ガイドラインでは、16歳以上を成人と規定し「ステロイド局所注射」と「局所免疫療法」を推奨しています。そのため、高校生であれば治療の選択肢は成人と同じと考えて問題ありません。

その他

成人と同じく、内分泌機能や皮膚の病気などに対する治療を行います。先ほど示した思春期以降の男性で多い粃糠性(ひこう性)脱毛症は、皮膚科を受診のうえステロイド外用などの治療が必要です。

参考


脱毛症診断チェック

脱毛症以外の病気などでも抜け毛が多くなる

ここがポイント!

  • がん治療の中でも抗がん剤治療と放射線治療では副作用として脱毛が現れる
  • 脱毛は一時的であるため、治療が終われば髪の毛が生え始める
  • 放射線治療中は頭皮が弱くなっているため頭皮に傷がつかないようにする

がんの治療

胃がんや乳がんなどの「がん」に対する治療には主に「抗がん剤治療(化学療法)」「放射線治療」「手術」があり、このうち、抗がん剤治療と放射線治療を行うと副作用として脱毛が現れることがあります。個人差はありますが、治療開始後1~3週間で髪の毛が抜け始めます。

放射線治療では、放射線の照射によってがん細胞だけでなく正常な細胞に対しても影響するため、皮膚が炎症を起こし脱毛につながります。
抗がん剤治療では、抗がん剤によって毛根がダメージを受けることで髪の毛が抜けます。

がん治療による脱毛は一時的なものであるため、治療が終われば数カ月で髪の毛が生え始めます。放射線治療中は頭皮が弱くなっているため爪、シャンプー、パーマやカラーリングなどで傷つけないように注意しましょう。

参考


抜け毛が多い時期や季節はあるのか

ここがポイント!

  • 洗髪時の抜け毛と季節の関連性に医学的な根拠はない

洗髪時の抜け毛の変化と季節との関連性について調べた論文はあるものの、少数であるため現在のところ十分な医学的根拠があるとは言えません。

脱毛症診断チェック

まとめ

髪の毛は一定の周期によって生え変わりを繰り返しているため、抜け毛は自然に起こります。しかし、抜け毛が急激に増えた場合には、AGA、円形脱毛症などの原因が考えられます。円形脱毛症は性別や年齢に関係なく発症しますが、AGAは思春期以降、特に20歳代前半から発症するため、子どもがAGAを発症することはありません。このように、年齢や性別によって抜け毛の原因は異なり、それぞれの原因に対する治療法も年齢や性別で考慮すべき点があります。そのため、抜け毛が増えてきたと感じたら自分で判断せずに医療機関を受診するようにしましょう。

円形脱毛症・前頭脱毛症などの脱毛症でお悩みの方へ

Okada
岡田 里佳 医師
TMクリニック院長、日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医、日本内科学会認定 認定内科医、日本リウマチ学会認定 リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定 アレルギー専門医

プロフィール

2008年名古屋市立大学医学部卒業。内科を中心に初期研修を行い、その後皮膚科へ進む。大学病院での勤務を経て、皮膚疾患を合併しやすいアレルギー・膠原病診療を経験するため、約3年間内科医として勤務。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医、日本内科学会認定内科医、日本リウマチ学会認定リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定アレルギー専門医を取得。2017年11月、誰にでも最適な医療を提供するためTMクリニック 皮フ科を開設。

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