抜け毛とストレスの関連性について|医学的根拠を基に正しい情報を解説します

ストレスが抜け毛の原因になるいうイメージを持っている方もいるのではないでしょうか。ここでは、ストレスが抜け毛の原因となる可能性や、ストレスを解消することで抜け毛が回復するのかなど、ストレスと抜け毛の関連性について詳しく説明していきます。

Okada
岡田 里佳 医師監修
TMクリニック院長、日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医、日本内科学会認定 認定内科医、日本リウマチ学会認定 リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定 アレルギー専門医

目次

  1. 01「万病のもと」と呼ばれるストレス
  2. 02ストレスで毛根が弱り、抜け毛につながる可能性とそのメカニズム
  3. 03ストレス解消で抜け毛は回復するか
  4. 04ストレスを感じているときに抜け毛が起きた場合の対処法
  5. 05まとめ

「万病のもと」と呼ばれるストレス

ここがポイント!

  • ストレスとは外部から加わる刺激に対して生じるこころや体の反応
  • ストレスを受けるとこころや体に悪い影響を及ぼすことがある

現代はストレス社会と呼ばれているように、日頃からストレスを感じている方も多いと思います。ストレスは大きく「精神的ストレス」と「身体的ストレス」に分けられ、私たちのこころや体に悪い影響を及ぼすことがあります。通常「ストレス」という場合は、多くは「精神的ストレス」を指すことが多いでしょう。ではそれぞれのストレスついて、具体的に説明していきます。

ストレスとは

ストレスは外部から加わる刺激に対して生じるこころや体の反応を指します。そして、この刺激を加えているものを「ストレッサー」と言います。ストレッサーには「物理的」「科学的」「心理・社会的」の3つがあります。
ストレスとは

精神的ストレスとストレス反応

精神的ストレスは、主に人間関係、仕事上の問題、家庭の問題などの「心理・社会的」要因があります。ストレスが溜まると、精神面ではイライラ、不安、興味・関心の低下などのような影響が出るとされています。

身体的ストレスとストレス反応

身体的ストレスには騒音、熱さ、寒さなどの物理的要因、薬物、公害物質などの化学的要因があります。これらが身体に負担を掛けることにより、不眠、胃痛、食欲低下、肩こりなどの影響を与えるとされています
ストレスがこころや体に及ぼす影響
ストレスの種類

ストレスは行動にも現れる

ストレスが溜まると人間の行動面にも影響を及ぼすとされています。お酒やたばこの量が増えたり、集中力の低下により小さなミスを引き起こしやすくなったりする場合があります。

参考


脱毛症診断チェック

ストレスで毛根が弱り、抜け毛につながる可能性とそのメカニズム


ストレスが直接的な原因となり、抜け毛を引き起こすことは医学的に証明されていません。

私たちの体は活発に動かす時に働く「交感神経」と、休めるときに働く「副交感神経」がバランスをとり、正常に働くよう調整されています。精神的・身体的ストレスが引き金となってこのバランスが崩れることにより、交感神経が優位になると、末梢の血管は収縮します。
髪の毛も頭皮の毛細血管より、成長に必要な栄養素と酸素を取り入れています。そのため、血行不良になると、十分な栄養や酸素が受け取れず、髪の毛の成長に影響を与える可能性が考えられます。しかし、同じようなストレスを受けても、薄毛になる人とならない人がいるように、ストレスと抜け毛の関連については明確な根拠は乏しいと考えます。
抜け毛の原因の一つである円形脱毛症は「自己免疫応答(自分自身の組織を、自己の過剰な免疫反応で攻撃してしまうこと)」が発症要因と考えられており、ストレスが引き金となる可能性も指摘されています。円形脱毛症に関しては、精神的ストレスとの関連がよく議論されますが、まだ明確な答えはなく、安易に精神的ストレスが原因と決めつけることは好ましくありません。

参考


ストレス解消で抜け毛は回復するか


これまで説明したように、ストレスと抜け毛に明確な関連はなく、ストレスの感じ方は個人差が大きく状況によっても異なります。そのため、ストレスを解消することで抜け毛がどの程度改善したのかを数値化し比較することは困難です。しかし、ストレスはこころや体に悪い影響を与えることは明らかであり、抜け毛をストレスと感じている場合は、その原因や対策について早めに医療機関へ相談し、悩みを一人で抱えないようにすることが大切です。

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ストレスを感じているときに抜け毛が起きた場合の対処法


医療機関を受診しよう

ストレスに関係なく、抜け毛が多くなったと感じた場合には、脱毛症の可能性があります。脱毛症の診断や治療は、病院の皮膚科や脱毛症専門のクリニックなどで受けることができます。心配な方は医療機関を受診してみてはいかがでしょうか。

自分に合ったストレス解消法を見つけよう

ストレスの感じ方が人によって異なるように、解消法も自分に合ったものを見つけることが大切です。例えば、友達と遊ぶ、旅行に行く、スポーツをする、半身浴をするなど自分の好きなことやリラックスできることを見つけると良いでしょう。

ストレスは10代の抜け毛の原因にもなる

ここがポイント!

  • ストレスが直接的な原因となり、抜け毛を引き起こすことは医学的に証明されていない

ストレスは円形脱毛症の引き金になることがある

ストレスが直接的な原因となり、抜け毛を引き起こすことは医学的に証明されていません。ですが、髪の毛は頭皮の毛細血管より成長に必要な栄養素と酸素を取り入れています。そのため、血行不良になると、十分な栄養や酸素が受け取れなくなることから、髪の毛の成長に影響を与える可能性が考えられます。
10代で起こる脱毛症の一つに「円形脱毛症が」あります。円形脱毛症は、年齢や性別にに関係なく、誰にでも発症する可能性がある脱毛症です。円形脱毛症の中でも髪の生え際が帯状に抜ける「蛇行状(だこうじょう)脱毛症」は、大人よりも子どもの発症率が高いことも明らかになっています。

円形脱毛症の主な原因は、免疫細胞が自分の体の細胞を「異物」と誤認して攻撃してしまう「自己免疫応答」と考えられています。ストレスにより自律神経や内分泌のバランスが崩れ、自己免疫応答の引き金になる可能性があると考えらえています。つまり、間接的ではありますがストレスが10代の脱毛に関与していることを否定することは出来ないと言えるでしょう。

AGAは思春期以降に発症する脱毛症

脱毛症の一つである「AGA(男性型脱毛症)」は、思春期以降に発症する進行性の脱毛症です。そのため、AGAは思春期前の子どもの抜け毛の原因にはなりません。高校生以上の年齢であれば発症する可能性はありますが、20歳代前半から薄毛の症状が現れることが多いです。また、AGAを発症する原因は「男性ホルモン」である事が明らかになっており、ストレスとの関連性は認められていません。

抜け毛の原因は、年齢によって異なる場合があります。また、年齢によって推奨される治療法が異なることもあります。脱毛症は大人だけの病気ではありません。しかし、子どもが脱毛症になった場合、自覚症状が乏しいため本人が気がつかず、症状が進行してから周りの大人が気がつくといったケースもあるでしょう。家族内で抜け毛が気になる症状が現れたら、子どもをしっかり観察し、場合によっては病院の皮膚科、小児科や脱毛専門外来などを受診し、医師に相談するようにしましょう。子どもに多い脱毛症にはは、円形脱毛症の他に「トリコチロマニア(抜毛症)」があります。「抜毛症」については、次の章で詳しく説明していきます。

参考

男性型脱毛症診療ガイドライン2010|日本皮膚科学会(pdf資料)

脱毛症診断チェック

子どもに多いストレスによる抜毛症とは

ここがポイント!

  • ストレスなどが関連して、自らの手で毛髪を引き抜いてしまうことで生じる脱毛症

抜毛症(ばつもうしょう)とはトリコチロマニアとも言われ、学童期の子どもが発症しやすい病気です。抜毛症は、ストレスなどが関連して、自らの手で毛髪を引き抜いてしまい脱毛が生じる症状をいいます。家族関係や学校での人間関係、環境の急激な変化、性格などを背景とした精神的ストレスによって発症するもので、毛髪自体に原因がある病気ではありません。

主な症状としては、手の届きやすい「前頭部」や利き腕側の「側頭部」で毛が抜けていたり、ちぎれた毛が不規則に残っていたり、無理に毛を抜くため頭皮の発赤などがみられます。
脱毛の範囲は様々ですが円形脱毛症とは異なり、脱毛部分は円形ではありません。治療については、抜毛症の原因が精神的ストレスを背景にしていることから、心のケアが主体になります。毛を抜くことを責めたり辞めさせるのではなく、なぜ毛を抜く行為をするようになったか、その原因を一緒に考え解決する必要があります。そのため、児童精神科などの医療機関を受診し医師に相談すると良いでしょう。

まとめ

ストレスと抜け毛の関連性は医学的に証明されていません。ストレスは感じ方も人や状況によって異なるため数値化するのが困難であり、ストレス解消によって抜け毛が改善するかどうかも明らかではありません。
しかし、ストレスが私たちのこころや体に悪い影響を及ぼすことは明白です。髪の毛や頭皮も体の一部であり、その健康や成長にストレスが悪影響を及ぼす可能性は否定できません。また、円形脱毛症の原因として最も有力である「自己免疫応答」は、ストレスが引き金となる可能性があると考えられています。よって、大切なことは自分なりのストレス解消方法を見つけて、ストレスをため込まないようにすることです。また、抜け毛が気になっている方は脱毛症の可能性もありますので、病院の皮膚科や脱毛症専門のクリニックを受診してみてはいかがでしょうか。

円形脱毛症・前頭脱毛症などの脱毛症でお悩みの方へ

Okada
岡田 里佳 医師
TMクリニック院長、日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医、日本内科学会認定 認定内科医、日本リウマチ学会認定 リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定 アレルギー専門医

プロフィール

2008年名古屋市立大学医学部卒業。内科を中心に初期研修を行い、その後皮膚科へ進む。大学病院での勤務を経て、皮膚疾患を合併しやすいアレルギー・膠原病診療を経験するため、約3年間内科医として勤務。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医、日本内科学会認定内科医、日本リウマチ学会認定リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定アレルギー専門医を取得。2017年11月、誰にでも最適な医療を提供するためTMクリニック 皮フ科を開設。

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