抜け毛の対策法とは|男性や女性の抜け毛の特徴から正しいシャンプー方法まで具体的に解説

抜け毛対策をしっかり行うためには、その原因を明らかにする必要があります。性別によって特徴的な原因もあれば、誰にでも起こりうるものもあります。ここでは、男性と女性それぞれに特徴的な抜け毛に対して行われる対策法や、性別に関係なく誰にでも起こる抜け毛に対する対策法について解説していきます。さらに、シャンプー、食べ物、サプリメントと行った対策法に医学的な根拠があるのかについても説明していきます。

Okada
岡田 里佳 医師監修
TMクリニック院長、日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医、日本内科学会認定 認定内科医、日本リウマチ学会認定 リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定 アレルギー専門医

目次

  1. 01男性に特徴的な抜け毛の対策
  2. 02女性に特徴的な抜け毛の対策
  3. 03誰でも起こり得る抜け毛対策
  4. 04シャンプーによる抜け毛対策
  5. 05食べ物による抜け毛対策
  6. 06抜け毛対策に有効なサプリメントはあるのか
  7. 07まとめ

男性に特徴的な抜け毛の対策

ここがポイント!

  • 男性に特徴的な抜け毛の原因としてAGA(男性型脱毛症)がある
  • AGAによる抜け毛に対しては、主に「内服薬」「外用薬」「自毛植毛」の3つの治療法が推奨されている
  • 内服治療を希望する場合には、医療機関を受診する必要がある

日本人男性の約3人に1人はAGA(男性型脱毛症)を発症すると言われており、男性の主な抜け毛の原因となっています。ここでば、AGAによる抜け毛対策について解説していきます。

AGAの場合

AGAは男性ホルモンの一種であるDHT(ジヒドロテストステロン)が、前頭部と頭頂部の髪の毛の成長を抑えるよう作用することで発症する脱毛症です。日本皮膚科学会のガイドラインで推奨されているAGAの治療は、主に以下の3つの方法があります。

AGAの主な3つの治療法
内服薬 AGAの原因であるDHTの産生を抑える「フィナステリド(プロペシアなど)」や「デュタステリド(ザガーロ)」
外用薬 発毛・育毛効果のある「ミノキシジル」
自毛植毛 DHTの影響を受けにくい自己の後頭部から髪の毛を脱毛部へ移植する

AGAの治療を希望する場合は、まず皮膚科のある病院や脱毛症専門のクリニックを受診し、AGAの診断を受けた上で主治医と相談し、治療法を選択するようにしましょう。

AGAの治療について詳しくは「【AGAの治療について】3つの治療方法・期間・薬の効果と副作用から保険適用まで網羅的に」をご参照ください。

参考


脱毛症診断チェック

女性に特徴的な抜け毛の対策

ここがポイント!

  • 女性に特徴的な抜け毛の1つに、産後の抜け毛(分娩後脱毛症)がある
  • 分娩後脱毛症は一時的なものであり、基本的には治療を必要としない
  • 過度な食事制限によって栄養が不足すると、髪の毛の成長が阻害され、抜け毛になる場合がある
  • 女性の脱毛は治療方法など男性と異なる点があり、女性専門の脱毛クリニックもある

産後の抜け毛の場合

出産後に抜け毛が増えることがあり、これは「分娩後脱毛症」と呼ばれます
分娩後脱毛症は、頭部の広範囲に抜け毛が現れます。主な発症メカニズムは、妊娠中にエストロゲンという女性ホルモンが毛包に作用することで、本来であれば成長期、退行期から休止期へ移行するはずの髪の毛が退行期にとどまります。そして、出産後にエストロゲンが低下し、それらの髪の毛が同時に休止期に入るため、抜け毛が増加すると考えられています。分娩後脱毛症は出産に伴う一時的な脱毛であるため、基本的には治療を必要としません。しかし、脱毛の持続期間は数ヶ月とする報告が多く、長く継続するなど心配な場合は、主治医に相談しましょう。

過度な食事制限による抜け毛の場合

健康的な髪の毛を成長させるためには、髪の毛の成長の基となる細胞に十分な栄養素が届くことが必要です。特に、髪の毛を構成しているタンパク質や、タンパク質の代謝に関与している亜鉛、ビタミンB群などの栄養素が重要です。
過度なダイエットによって栄養素が不足すると、髪の毛の成長に影響を及ぼし「脱毛」につながる可能性があります。

対策としては、過度な食事制限はせず、栄養をバランスよく取るよう食事習慣を改善しましょう。過度な食事制限の背景には、「拒食症」「過食症」などの精神疾患が関連している場合もあります。過度な食事制限がなかなか改善できない場合は、一人で悩まずに医療機関に相談するようにしましょう。

女性の脱毛症の専門クリニックもある

女性でも男性と同様にAGA(男性型脱毛症)を発症することがあり、FAGA(女性男性型脱毛症)と呼ばれます。しかし、男性と異なりその詳しい原因は解明されていません。専門的な診断や治療を希望する場合や、脱毛症の治療を男性に見られたくないと感じている方には、女性専門の医療機関を受診するという選択肢もあります。もちろん、男性と同じく皮膚科や脱毛症専門のクリニックでも、専門的な診断や治療が受けられます。

参考

  • 上田 喬士ら(2009)「分娩後脱毛症」,『皮膚臨床』51(2); 236~237

誰でも起こり得る抜け毛対策

ここがポイント!

  • 円形脱毛症は年齢・性別に関係なく、誰にでも発症する
  • 内分泌や栄養状態の異常によっても抜け毛が生じる
  • 抗がん剤を含む薬剤性の脱毛症は、誰にでも発症する
  • 抜け毛の原因を特定するためには、医療機関の受診が必要である

円形脱毛症の場合

円形脱毛症は、急速に頭部の一部が円形に脱毛してしまう脱毛症であり、年齢や性別に関係なく誰でも発症します。発症原因は「自己免疫応答」という免疫の異常が有力だとされていますが、完全には解明されていません。診療ガイドラインにおいて、以下の2つの治療方法が推奨されています。

ステロイド局所注射 免疫抑制作用のあるステロイドを脱毛部に直接注射し、過剰な免疫応答を抑える
局所免疫療法 特殊な薬剤により「かぶれ」を起こし、脱毛部での発毛を促す

他の病気による抜け毛の場合

AGAや円形脱毛症以外にも、次のような原因で抜け毛が多くなる場合もあります。

  • 内分泌の異常による脱毛
  • 栄養障害による脱毛
  • 皮膚炎など皮膚の病気による脱毛
  • 休止期脱毛(毛周期の中の休止期にあたる毛包の割合が増えてしまうことにより生じる脱毛)
  • 粃糠性脱毛症(ふけ症と脱毛が合併したもの)

このような場合、内分泌の異常や栄養障害など抜け毛の原因となっている病気を治療する必要があります。まずは脱毛の原因が何かを特定するため、皮膚科や脱毛症専門のクリニックで診察や検査を受けるようしましょう。

薬や治療の副作用による抜け毛の場合

がんに対する治療の中でも、「抗がん剤(化学療法)」と「放射線治療」を行うと副作用で髪の毛が抜ける場合があります。このような抜け毛を「成長期脱毛」と呼びます。しかし、脱毛は一時的なものであり治療が終われば数カ月で髪の毛が生え始めます。そのため特別な治療は必要ありませんが、治療中は頭皮が弱くなっているため、傷つけてしまうと炎症を起こして脱毛を進めてしまう可能性があります。抗がん剤や放射線治療を受けている人は次のような点に気を付けるようにしましょう。

<がん治療中に抜け毛を増やさないための注意点>
  • 爪を切っておく
  • 頭部の放射線治療中であればシャンプーやリンスは使わず、ぬるま湯で洗い流す程度にとどめる
  • 髪がもつれないよう毛が柔らかいブラシでといておく
  • パーマやカラーリングは医師と相談をする
  • 外見が気になる場合はかつらを利用すると良い
  • 頭部の放射線治療中に着用するかつらは、柔らかい素材のものにする

※抗がん剤以外にも、脱毛を引き起こす薬剤は多数あります(特にスタチン系の高脂血症治療薬やパーキンソン病治療薬など)。詳しくは、【抜け毛の原因について】男性と女性や年齢における違い~原因不明の抜け毛や食べ物による影響などを参照してください。

参考


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シャンプーによる抜け毛対策

ここがポイント!

  • 抜け毛対策に明確な医学的根拠があるシャンプーはない
  • 発毛・育毛効果が研究されている成分を含んだシャンプーはあるが、十分な根拠はない
  • シャンプーは正しい方法で行えば、髪の毛や頭皮を良好な状態に保つことが出来る

抜け毛に効果的な市販のシャンプーはあるのか

現在市販されているシャンプーで、抜け毛に効果的であると医学的に証明された商品はありません。育毛シャンプーとして宣伝・販売されているものの中には、発毛・育毛効果があるのではないかと研究されている成分を含んだものがあります。しかし、成分に関する研究の質や数は乏しく、効果の確実性に十分な根拠は認められていません。
男性型脱毛症のガイドラインでは、ケトコナゾール含有シャンプーがAGA男性に発毛効果を認めたとする記載があります。しかし、ケトコナゾールが含有されているシャンプーは市販されておらず、女性やAGA以外の脱毛症に関しての有効性は不明です。

また、ノンシリコンシャンプーは一般的に泡立ちにくく、洗髪時に髪の毛が絡まり抜け毛が増える原因になることがあります。気になる方はシリコンシャンプーに変更することをおすすめします。

髪と頭皮に優しいシャンプーの手順

髪の毛や頭皮の健康のためには、適切な洗髪は重要です。しかし、間違った方法でシャンプーを行うと、かえって頭皮を傷つけてしまう可能性があります。頭皮を傷つけないように、正しいシャンプーの方法を紹介します。

<正しいシャンプーの方法>
1)シャンプーの前にはブラッシングを行う
2)熱すぎないお湯で、地肌までしっかりと濡らす
3)シャンプーは手のひらで泡立ててから使用する
4)爪を立てず、指の腹でマッサージするように洗う
5)洗い残しがないようにしっかりと洗い流す
髪と頭皮に優しいシャンプーの手順

ケトコナゾールシャンプーは、「ニゾラールシャンプー」などという商品名で、皮膚科のクリニックで取り扱っている場合があります。補助的な薬としての使用は推奨されています。

参考


食べ物による抜け毛対策

ここがポイント!

  • 抜け毛に直接効果があると医学的に証明された食べ物はない
  • 髪の毛や頭皮の健康をサポートする栄養素には、「タンパク質」「亜鉛」「ビタミンB群」などがある

抜け毛に直接効果がある食べ物はあるのか

抜け毛対策に直接効果があると医学的に証明されている食べ物はありません。しかし、髪の毛の主な構成成分である「タンパク質」や、タンパク質の合成に関与する酵素の構成成分の1つである「亜鉛」を含む食べ物が、抜け毛予防に効果的であると言われています。
しかし、実際にどの食物をどれだけ食べると抜け毛が減る、といった明確な根拠はありません

髪と頭皮に良い栄養素

髪の毛と頭皮の健康をサポートする主な栄養素はタンパク質と亜鉛です。重症なタンパク質や亜鉛不足の場合に脱毛などの症状が現れることがありますが、通常の食生活を送っている健康な成人であれば不足する可能性は低いと言えます。しかし、消化器疾患がある人、アルコール依存症、妊婦、乳児などで不足しやすいと言われています。一方で、過剰摂取により健康に悪影響を及ぼす可能性もあり、注意が必要です。
2017年3月に医薬品としての亜鉛製剤(ノベルジン)が「亜鉛欠乏症」という病気に対して、使用可能となりました。また、病院では血液検査で自分の血液中の亜鉛の数値を測定することができます。血液中の亜鉛が低値であり、脱毛が進行している場合などは、医師と相談のうえ亜鉛製剤を摂取することをお勧めします。
また、それ以外の栄養素としてタンパク質の代謝などに関与しているビタミンB群も挙げられます。

それぞれの栄養素や、それらを豊富に含む食品について詳しくは「【AGAの予防と対策】食事やシャンプーなどの日常生活で出来る対策から予防薬の情報までを解説」をご参照ください。

参考


脱毛症診断チェック

抜け毛対策に有効なサプリメントはあるのか

ここがポイント!

  • サプリメントには明確な定義や基準がなく、その効果に明確な医学的根拠はない

発毛・育毛効果を期待する人を対象とした「育毛サプリ」にはさまざまな商品があります。
「サプリメント」は医薬品とは異なり、配合成分やサプリ自体の効果について明確な定義や基準が設けられていません。そのため、基本的に抜け毛に効果があると明確に証明されているサプリメントはないと考えて良いでしょう。しかし、いくつかのサプリメントには、小規模な研究で効果が認められているものもあります。詳しくは、
「市販の「発毛サプリ」について|成分と発毛効果の医学的根拠などについて正しく解説」をご参照ください。

参考


運動による抜け毛対策

ここがポイント!

  • 髪の毛は頭皮の毛細血管から必要な栄養や酸素を取り入れている
  • 血行不良になると、髪の毛が栄養・酸素不足となり脱毛のリスクにつながる

運動不足や毎日のデスクワークによる肩凝りなどで、筋肉が凝り固まってしまうと、血行不良を起こします。髪の毛は頭皮の毛細血管から必要な栄養や酸素を取り入れているため、頭皮の血行が悪くなると、頭皮や髪の毛に十分な栄養や酸素が行き渡らなくなり、髪の毛の成長に影響を及ぼす可能性があります。
血行不良を改善するために、ストレッチやマッサージをするように心掛けましょう。ストレッチを行う場合には、30分程度かけて全身の筋肉を順番にゆっくりと伸ばしていくと、副交感神経が活発になり体がリラックスするとされています。副交感神経の働きが活発になると血管が拡がり、血液の流れが良くなります。
毎日運動をするのが難しいという方でも、ストレッチなら自宅で手軽に出来ますので、試してみてはいかがでしょうk。また、仕事中に凝りを感じた時や帰宅後など体が疲れている時は、リフレッシュを目的にストレッチを行うのも良いかもしれません。

参考


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生活リズム改善による抜け毛対策

ここがポイント!

  • 髪の毛や頭皮は、毛細血管から必要な栄養と酸素を取り入れている
  • 生活リズムが崩れると自律神経の乱れに繋がり、血行不良の原因となる
  • 髪の毛や頭皮も体の一部であり、健康のためには生活リズムを整える事が重要

生活リズムが崩れると、自律神経の乱れに繋がります。自律神経には、体を活発に動かす「交感神経」と体をリラックスさせる「副交感神経」があり、互いにバランスと取り合っています。不規則な生活で、生活リズムが乱れると自律神経のバランスも崩れてしまいます。自律神経の乱れによって「交感神経」が優位に働くと、血管が収縮し血行不良を起こします。頭皮が血行不良になることで、十分な栄養や酸素が髪の毛に届かなくなり、髪の毛の成長に影響を与えてしまい、脱毛のリスクにつながります。

生活リズムを整えるためには、「睡眠をしっかり取る」ことが大切です。快眠のポイントとしては、「毎日同じ時刻に眠る」「起床時に日光を浴びる」「寝具を整える」「就寝前のカフェインの摂取や寝酒を控える」「就寝の2〜3時間前に入浴を行い体温を上げる」などがあります。

また、厚生労働省の「eーヘルスネット」という健康情報サイトには、「習慣的に運動をしている人には不眠が少ない」と記載されています。習慣的に運動を続けることで、寝付きがよくなり、深い睡眠が得られることがわかっています。激しい運動は逆に睡眠を妨げますので、ストレッチや軽い有酸素運動を行うと良いでしょう。運動をする効果的な時間は、夕方から夜にかけてで「就寝の3時間くらい前」が良いとされています。
毎日同じ時刻にしっかりと睡眠を取ることで、生活リズムを整える事ができます。
髪の毛や頭皮も体の一部です。しっかり睡眠をとり、健康的な生活を送ることが間接的に抜け毛予防につながると考えられます。

参考


まとめ

男性に特有な抜け毛の原因としてAGA、女性では出産や過度な食事制限といった原因を解説しました。男性のAGAの場合は内服薬、育毛剤、自毛植毛といった治療を行うことで対策をしていきます。女性の場合、出産後に髪の毛が抜ける「分娩後脱毛」を発症することがありますが、これは一時的なもので特別な対策は必要ありません。しかし、過度な食事制限によって抜け毛が増えてきた場合には、髪の毛の発毛・育毛に必要な栄養素が不足している可能性があります。過度な食事制限はせず、栄養素をバランスよく摂取することが大切です。
抜け毛に対して適切な対策を行うためには、まずはその原因を知る必要があります。抜け毛が気になり始めたら、医療機関を受診して診察や検査を受けるようにしましょう。
また、医療機関に頼らず、シャンプー、食べ物、サプリメントなど自分で行える範囲で抜け毛対策を行う方法もあります。しかしこれらの方法は、抜け毛改善に対する明確な根拠が乏しいと考えます。あくまでも髪の毛と頭皮の健康をサポートする役割であることを理解した上で利用するようにしましょう。

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Okada
岡田 里佳 医師
TMクリニック院長、日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医、日本内科学会認定 認定内科医、日本リウマチ学会認定 リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定 アレルギー専門医

プロフィール

2008年名古屋市立大学医学部卒業。内科を中心に初期研修を行い、その後皮膚科へ進む。大学病院での勤務を経て、皮膚疾患を合併しやすいアレルギー・膠原病診療を経験するため、約3年間内科医として勤務。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医、日本内科学会認定内科医、日本リウマチ学会認定リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定アレルギー専門医を取得。2017年11月、誰にでも最適な医療を提供するためTMクリニック 皮フ科を開設。

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