【薄毛の原因とは】ストレスや食べ物などの要因を医学的な視点で解説します

なぜ、薄毛になってしまうのでしょうか。
薄毛の原因として考えられているものには、AGAや円形脱毛症などの脱毛症はもちろんのこと、ストレス、加齢、シャンプーやヘルメットなどによる頭皮や髪の毛への刺激もあります。ここでは、それぞれの要因と薄毛の関連性に医学的な根拠があるのかを解説していきます。また、男性と女性で原因に違いがあるのかも合わせて説明していきます。

Okada
岡田 里佳 医師監修
TMクリニック院長、日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医、日本内科学会認定 認定内科医、日本リウマチ学会認定 リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定 アレルギー専門医

目次

  1. 01医学的に正しい薄毛の原因とは
  2. 02女性と男性では薄毛の原因は異なるのか
  3. 03ストレス、ヘルメット、シャンプーは薄毛の原因になるのか
  4. 04ワックスは薄毛の原因になるのか
  5. 05まとめ

医学的に正しい薄毛の原因とは

ここがポイント!

  • AGAの原因は、「DHT」という男性ホルモンであると明らかになっている
  • 加齢により成長期の髪の毛の割合が減るため、髪の毛の量が減ったり細くなったりする
  • 円形脱毛症は年齢や性別に関係なく発症するが、原因は完全に解明されていない
  • 内分泌障害、栄養障害、皮膚の病気などが原因となり薄毛になる場合もある

男性ホルモン

「AGA(男性型脱毛症)」という脱毛症は、男性ホルモンが原因で薄毛になることが明らかになっています。男性ホルモンは、骨や筋肉の発達を促進したり、ひげや胸毛では毛を濃くしたりする働きがあります。しかし、前頭部や頭頂部の髪の毛を作る細胞に男性ホルモンが作用すると、「2型5α-リダクターゼ」という酵素の働きにより、男性ホルモンは「DHT」に変換されます。そして、「DHT」が「AR(男性ホルモン受容体)」に結合すると、髪の毛の成長に関連する細胞に作用し、成長が抑制されて前頭部・頭頂部の髪の毛は「細く・短く」なってしましい、薄毛になります。
ジヒドロテストステロンが毛の成長に作用する仕組み

年齢

年齢を重ねるごとに少しずつ身体の機能は衰えていきます。髪の毛も体の一部ですので、加齢による影響を受けます。髪の毛は「毛周期」というサイクルにより生え変わっています。毛周期は「成長期」「休止期」「退行期」から成ります。若い頃は、成長期の髪の毛がほとんどを占めていますが、加齢によりその割合が低下していくことが明かになっています。そのため、加齢による薄毛は、ある程度自然に起こる現象であると言えます。

円形脱毛症

薄毛の原因はAGAや加齢だけではありません。円形脱毛症は、年齢や性別に関係なく発症する脱毛症です。原因は完全にには解明されていませんが、現在「自己免疫応答」が最も有力であるとされています。自己免疫応答とは、本来は外部から侵入してきた細菌やウイルスから体を守るための免疫機能が、自分の細胞を「異物」であると誤認し、攻撃してしまう状態を言います。髪の毛を作る細胞が攻撃されると、髪の毛の成長に影響を与えてしまうため、脱毛症を発症すると考えられています。

その他

AGAや円形脱毛症以外にも、次のような原因で抜け毛が多くなる場合もあります。
・内分泌の異常による脱毛
・栄養障害による脱毛
・皮膚炎など皮膚の病気による脱毛
・休止期脱毛(毛周期の中の休止期に当たる毛包の割合が増えてしまうことにより生じる脱毛)
・粃糠性脱毛症(ふけ症と脱毛が合併したもの)

参考


脱毛症診断チェック

女性と男性では薄毛の原因は異なるのか

ここがポイント!

  • 女性のAGAは「FAGA」と呼ばれ、AGAと異なり原因が完全に解明されていない
  • FAGAは「頭頂部の比較的広い範囲が薄毛になる」という特徴があり、AGAの症状とは異なる

女性のAGAは原因不明

前の章で紹介した「AGA」は、男性型脱毛症という名称ですが、女性でも発症する場合があります。女性の場合は「FAGA(女性男性型脱毛症)」と呼ばれています。男性の症状の特徴(「生え際の後退」や「頭頂部の薄毛」)と、女性の特徴(「頭頂部の比較的広い範囲が薄毛になる」)はそれぞれ異なります。このように、男性との症状の違いや男性ホルモンの積極的な関与が不明な点などから、AGAとは病態が異なると推測されており、FAGAの原因は完全に解明されていません。

分娩後に抜け毛が増えることも

女性の中には出産後に頭部全体が脱毛してしまう「分娩後脱毛症」を発症してしまう方がいます。これは、妊娠や出産におけるエストロゲンの分泌量の変化によるもので、出産後数ヶ月で自然に改善すると言われており治療を必要としません。

分娩後の抜け毛について詳しくは「【抜け毛の原因について】男性と女性や年齢における違い~原因不明の抜け毛や食べ物による影響など」をご参照下さい。

このように女性の薄毛の原因は男性と異なる場合もありますが、基本的に女性の薄毛治療も一般的な病院の皮膚科で受けることができます。最近では、女性専門の脱毛症外来も開設されていますので、薄毛に悩んでいる方は一度相談してみてはいかがでしょうか。

女性の薄毛について考えられる原因や治療法などについて詳しくは「【女性の薄毛について】考えられる原因と治療法~シャンプーや髪型などの日常対策まで」をご参照下さい。

女性の薄毛の原因は、AGAに比べて明らかではありません。しかし、女性は出産や加齢によって薄毛になるなど、男性の薄毛より原因が多いように思います。自分にあったサプリメントやシャンプー、育毛剤などを試してみたり、生活習慣を見直してみるのも大切でしょう。

参考


ストレス、ヘルメット、シャンプーは薄毛の原因になるのか

ここがポイント!

  • ストレス、ヘルメット、シャンプーが薄毛の直接的な原因になるという医学的根拠は乏しい

髪の毛が薄くなってくると、髪の毛に直接触れるものや、髪の毛の成長に影響を与えると考えられるものに対して不安を抱く方もいるのではないでしょうか。ここでは、「ストレス」「ヘルメット」「シャンプー」などは、果たして薄毛の原因になるのか解説していきます。

ストレス

ストレスは外部からの刺激に対して生じる心や体の反応をいいます。身体的な反応には不眠、胃痛、食欲低下、肩こりなどがあり、精神的なものにはイライラ、不安、興味・関心の低下などがあります。また、お酒やタバコの量が増えるなど行動面にも影響を及ぼすと考えられています。

しかし、脱毛症とストレスの関連性については医学的根拠が乏しく完全に解明されていません。ストレスは、人や状況によって感じ方が異なり、実体がないためストレスの度合いを数値化することは困難です。そのため、ストレス解消が、薄毛の改善に繋がるのか検証することも難しいと考えられます。

薄毛や抜け毛とストレスの関連性、抜け毛が起きた場合の対処法などについて詳しくは「抜け毛とストレスの関連性について|「ストレスが毛根を弱らせる」「ストレス解消で抜け毛が回復する」という噂は本当か~医学的に正しい情報を解説」ご参照下さい。

ヘルメット

日本皮膚科学会によるAGA診療ガイドラインでは、ヘルメットと脱毛に関しての記載はありません。また、「かつら」を着用した場合と着用しない場合の発毛や脱毛の進行について比較検討した報告はありません。つまり、ヘルメットやかつらの着用が発毛や脱毛に影響を及ぼすかについての医学的根拠は乏しいと言えます。

医療用かつらの材質や特徴、購入方法や値段などについて詳しくは「【AGAや円形脱毛症でも使う医療用かつら(ウィッグ)とは】男性、女性、子ども用の違いや特徴、値段の相場と医療費控除や保険適用など」をご参照下さい。

シャンプー

シャンプーが薄毛の原因になる医学的根拠は乏しく、関連性は不明です。
しかし、髪の毛を洗う際にシャンプーの洗い残しがあると、毛穴が詰まったり炎症を引き起こしたりする原因となり、髪の毛の成長に影響を及ぼす可能性があります。シャンプーはしっかりと洗い流すようにしましょう。

市販の育毛シャンプーの特徴、価格、正しい使用方法などについて詳しくは「市販の育毛シャンプーの正しい使用方法と効果について|男性用・女性用育毛シャンプーの特徴や価格と効果の関連性などまで解説」をご参照下さい。

参考

日本皮膚科学会円形脱毛症診療ガイドライン2010(pdf資料)

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10代で考えられる薄毛の原因

ここがポイント!

  • 円形脱毛症は年齢や性別に関係なく発症するため、10代の薄毛の原因になる
  • 内分泌異常、栄養不足、休止期脱毛症、アトピー性皮膚炎などが原因になりうる
  • 自ら髪の毛抜いてしまう「トリコチロマニア(抜毛症)」は子どもに多い

円形脱毛症は子どもでも発症する脱毛症

円形脱毛症は、年齢に関係なく発症する脱毛症です。そのため、10代の薄毛の原因になると考えられます。円形脱毛症の中でも髪の生え際が帯状に抜ける「蛇行状(だこうじょう)脱毛症」は、大人よりも子どもの発症率が高いことが分かっています。

脱毛症以外が原因の可能性もある

内分泌異常、栄養不足、休止期脱毛症、アトピー性皮膚炎などが薄毛の原因になる場合があります。このようなことが原因の場合には、元の病気を治療しなくては症状は改善されません。まずは医療機関を受診して、脱毛の原因を特定することが重要です。

 子どもに多いトリコチロマニア(抜毛症)

子どもに多くみられる脱毛原因の一つに「トリコチロマニア(抜毛症)」があります。
抜毛症は、ストレスなどを背景として、自らの手で毛髪を引き抜いてしまう症状をいいます。精神的ストレスが背景にあると考えられ、治療には「心のケア」を必要とします。抜毛行為を注意することは逆効果になり、症状を悪化させてしまう可能性があります。子どもは無意識のうちに髪の毛を抜いてしまっている場合もありますので、抜毛行為を発見したら児童精神科などの医療機関を受診し、医師に相談することをおすすめします。

年齢によってはAGAを発症している可能性もある

AGAは思春期以降に発症する進行性の脱毛症です。そのため、思春期前の子どもの抜け毛の原因にはなりません。しかし、10代後半であれば年齢によって発症している可能性もあります。

参考

日本皮膚科学会円形脱毛症診療ガイドライン2010(pdf資料)
皮膚科Q&A|日本皮膚科学会


20代以降で考えられる薄毛の原因

ここがポイント!

  • AGA(男性型脱毛症)は思春期以降に発症する進行性の脱毛症
  • 日本人男性の約3人に1人がAGAを発症すると考えられている
  • AGA以外の病気が原因で、薄毛になる場合もある

AGA

AGAは思春期以降に発症する進行性の脱毛症です。AGAは日本人男性の約3人に1人が発症しており、「20歳代では約10%、30歳代では20%、40歳代では30%、50歳代では40%以上」というように、年齢を重ねるとともに発症頻度が高くることも明らかになっています。つまり、20代男性の10人に1人はAGAを発症している可能性があるのです。

円形脱毛症

円形脱毛症は年齢や性別に関係なく発症することが明らかになっており、20代以降の薄毛の原因になる可能性があります。円形脱毛症の原因は完全に解明されていないため、いつ誰が発症してもおかしくない脱毛症なのです。

 その他の原因

脱毛症以外の病気が原因で薄毛になる場合もあります。
内分泌異常、栄養障害、アトピー性皮膚炎など皮膚の病気、休止期脱毛(毛周期の中の休止期にあたる毛包の割合が増えてしまうことにより生じる脱毛)など脱毛を引き起こす可能性がある原因は複数あります。脱毛症以外の病気が原因となっている場合には、元の病気を治療しなくては症状は改善しません。薄毛が気になる場合には、医療機関を受診して原因を特定することが重要です。

参考

日本皮膚科学会円形脱毛症診療ガイドライン2010(pdf資料)
皮膚科Q&A|日本皮膚科学会


脱毛症診断チェック

頭頂部の薄毛の原因

ここがポイント!

  • 成人男性はAGA(男性型脱毛症)、女性はFAGA(女性男性型脱毛症)の可能性がある

AGAの症状は、「頭頂部の薄毛」と「生え際の後退」という特徴があります。
そのため、成人男性で頭頂部の髪の毛が薄くなってきた場合には、AGAを発症している可能性があるのです。また女性でもAGAを発症する可能性がありますが、「頭頂部の比較的広い範囲が薄毛になる」という男性とは異なった特徴があります。
症状の特徴は異なりますが、AGAの場合男女ともに頭頂部が薄毛になる可能性があるのです。
また、原因によっては脱毛する箇所が人によって異なる場合もあります。そのため、頭頂部に薄毛症状が現れたからといって「AGA」であると、すぐに特定することは出来ません。自己判断はせず、医療機関を受診し医師に相談するようにしましょう。

参考


薄毛の原因になる食生活とは

ここがポイント!

  • バランスの悪い偏った食生活を送っていると、頭皮や髪の毛が栄養不足になり、健康な髪の毛の成長に悪い影響を与える可能性がある
  • 髪の毛や頭皮の健康良いとされる栄養素は、「タンパク質」「亜鉛」「ビタミンB群」などがある

髪の毛や頭皮も体の一部なので、バランスの悪い偏った食生活を続けていると栄養が不足して健康に悪い影響を与えてしまいます。食生活によって直接的に薄毛になるとは医学的に証明されていませんが、髪の毛や頭皮の健康維持のためにも食事バランスを整えることは重要です。農林水産相のホームページには「健康な方々の健康づくり」を目的とした「食事バランスガイド」が紹介されています。食事バランスガイドは、1日に何をどれだけ食べればいいのかをイラストでわかりやすく考えられるように、望ましい食べ物の組み合わせと量を示したものです。
バランスの良い食事と言われても、何を食べたら良いかわからないという方はこちらを参考にしてみてはいかがでしょうか。

参考

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かゆみは薄毛の原因になるのか


頭皮にかゆみを感じる場合、頭皮が何らかの原因で炎症を起こしている可能性があります。
シャンプーや育毛剤を使用してから発症したかゆみの場合には、それらが原因である可能性があるため直ちに使用を中止しましょう。かゆみを感じて頭皮を爪を立てて引っ掻いてしまうと、さらに頭皮の状態を悪化させる可能性があります。頭皮の炎症は、髪の毛の成長に悪い影響を与えてしまいますので、皮膚科を受診して医師の診察を受けることをおすすめします。

ワックスは薄毛の原因になるのか

ここがポイント!

  • ワックスを十分に洗い落とすことができていないと、毛穴に汚れが詰まってしまい、抜け毛の原因となる可能性がある

毎日ワックスを使って髪の毛をスタイリングをする方も多いのではないでしょうか。ワックスを使用したからといって薄毛の直接の原因になる医学的根拠はありません。しかし、ワックスには「合成界面活性剤」という成分が含まれており、長時間つけていたり、ワックスをつけたまま寝てしまうと頭皮環境の悪化に繋がります。 ワックスを使用した場合には、シャンプー時にしっかり洗い流すようにしましょう。洗い残しがあると、毛穴が詰まり炎症を引き起こす可能性もあります。

脱毛症診断チェック

まとめ

薄毛の原因は「AGA(男性型脱毛症)」「円形脱毛症」などの脱毛症や、加齢による毛周期の変化が関与している場合があります。また、内分泌の障害、栄養障害、皮膚の病気などほかの病気が引き金になっているケースもあります。またFAGAや分娩後の抜け毛など、男性と女性で原因が異なることもあります。そのため、まずは薄毛の原因を特定することが、症状の改善を目指すうえで大切です。薄毛の診断や治療は、一般的な病院の皮膚科や脱毛症専門外来で受ける事ができます。女性も男性と同じ医療機関で診断や治療を受けることが可能ですが、薄毛は外見が変容しますので、男性に見られることが気になる方は女性専門の脱毛症外来も開設されているので、受診を検討してみてはいかがでしょうか。

円形脱毛症・前頭脱毛症などの脱毛症でお悩みの方へ

Okada
岡田 里佳 医師
TMクリニック院長、日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医、日本内科学会認定 認定内科医、日本リウマチ学会認定 リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定 アレルギー専門医

プロフィール

2008年名古屋市立大学医学部卒業。内科を中心に初期研修を行い、その後皮膚科へ進む。大学病院での勤務を経て、皮膚疾患を合併しやすいアレルギー・膠原病診療を経験するため、約3年間内科医として勤務。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医、日本内科学会認定内科医、日本リウマチ学会認定リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定アレルギー専門医を取得。2017年11月、誰にでも最適な医療を提供するためTMクリニック 皮フ科を開設。

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