【ひこう性(粃糠性)脱毛症とは】原因・症状・治療薬などを徹底解説

「ひこう性脱毛症」という脱毛症を聞いたことがあるでしょうか。円形脱毛症やAGA(男性型脱毛症)とは違い、あまり聞きなじみのない脱毛症ですが、思春期以降の男子に出現しやすいとされています。
ここでは、ひこう性脱毛症を発症するとどのような症状が出現するのか、原因は何なのか、治療はどのような薬を使って行うのか、などについて紹介していきます。また、ひこう性脱毛症を予防・改善するために、普段の生活の中で行えるシャンプーなどの対策についても併せて説明していきます。

Okada
岡田 里佳 医師監修
TMクリニック院長、日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医、日本内科学会認定 認定内科医、日本リウマチ学会認定 リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定 アレルギー専門医

目次

  1. 01ひこう性脱毛症の症状とは
  2. 02考えられる原因
  3. 03ひこう性脱毛症の治療と治療薬
  4. 04日常対策~シャンプーや食事・睡眠など
  5. 05まとめ

ひこう性脱毛症の症状とは

ここがポイント!

  • ひこう性脱毛症は、「ふけ症」と「脱毛」が合併した脱毛症であり、頭皮のかゆみと発赤を伴うことが多い
  • 思春期以降の男子に好発する

ひこう性脱毛症の症状
ひこう性脱毛症は「ふけ症」と「脱毛」が合併した脱毛症です。よって、髪の毛や肩のあたりに、灰白色の細かいふけが多く見られることがあります。また、ふけだけでなく、頭皮のかゆみと発赤を伴うことが多いと言われています。頭皮がかゆいため掻くとさらにふけが出現する、という悪循環が見られます。そして、髪の毛自体は細く、ツヤがない状態になります。

ひこう性脱毛症は、思春期以降の男子によく見られることが分かっています。

思春期以降、皮脂が増えます。そのためフケ症も起こりやすくなり、ひこう性脱毛症も出現しやすくなると考えます。皮脂の分泌量は、男性では30-40歳代、女性では10-20歳代がピークとされています。

参考

脱毛症診断チェック

考えられる原因

ここがポイント!

  • 「脂漏(しろう)性皮膚炎」と病態は似ているが、ひこう性脱毛症の原因は明確ではない

ひこう性脱毛症は、「脂漏(しろうせい)性皮膚炎」という皮膚の病気と症状が似ていることから、脂漏性皮膚炎と同じ方法で治療されます。一方、ひこう性脱毛症の原因について、脂漏性皮膚炎と同じであるかどうかを示した報告はほとんどありません。このような現状から、ひこう性脱毛症の原因ついては十分に解明されていないと言えます。

参考

ひこう性脱毛症の治療と治療薬

ここがポイント!

  • 病態の似ている「脂漏性皮膚炎」と同じ治療を行う
  • 治療の基本は、皮脂のコントロールと頭皮を清潔に保つこと
  • 症状がある場合は、「ステロイドやイミダゾール系の抗真菌薬の外用」や、「ミコナゾール硝酸塩」配合のシャンプーでの洗髪などを行う

何科の病院へ行けば良いのか

先ほど示したように、ひこうせい脱毛症はふけ症と脱毛が合併している状態です。ふけ症も脱毛も皮膚科の領域なので、症状に思い当たる場合は、皮膚科のある医療機関を受診するようにしましょう。また、脱毛症を専門に診察しているクリニックでも治療可能です。しかし、脱毛症専門外来の中にはAGA(男性型脱毛症)などに限定して治療を行っている場合もあるので、心配な方は受診する前にホームページや電話などで確認することをお勧めします。

治療に使われる薬

ひこうせい脱毛症は、症状が脂漏性皮膚炎に似ていることから、脂漏性皮膚炎と同様の治療が行われます。そのため、ここでは脂漏性皮膚炎の治療法について紹介していきます。

まず、脂漏性皮膚炎の原因について説明します。原因として、皮脂と真菌(マラセチア)の存在が考えられています。つまり、頭部の皮脂の成分が、マラセチアなどの正常な皮膚に存在する真菌によって遊離脂肪酸に分解されます、この分解された遊離脂肪酸が、皮膚(頭皮)に刺激を与えるため、皮膚炎が起こるとされています。皮脂が多いとマラセチアが増えやすくなり、増殖したマラセチア自体も皮膚に炎症を起こすことがあります。
よって、脂漏性皮膚炎の治療の基本は、余分な皮脂をコントロールし、皮膚を清潔に保つことです。そのため、石鹸やシャンプーなどを用いた洗顔・洗髪を適切に行うことが重要です。洗髪などの生活習慣の改善による治療については次の章で詳しく紹介します。

生活習慣の改善で症状が良くならない、もしくは最初から症状が強い場合には、皮膚の炎症を抑えつために「ステロイド外用薬」が使用されます。また、皮膚炎に真菌であるマラセチアが関与していることから、「イミダゾール系の抗真菌薬(一般名:ケトコナゾールなど)の外用薬」も使用されます。加えて、皮脂の分泌の抑制を期待して「ビタミンB2、B6を含んだ内服薬」が使用される場合もあります。また、かゆみが強い場合には「抗ヒスタミン剤の内服」を併用する場合もあります。

参考

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日常対策~シャンプーや食事・睡眠など

ここがポイント!

  • シャンプーを行う時は、頭皮を傷つけないようにし、加えて忘れがちな耳の後ろなどを意識して洗う
  • シャンプーを選ぶ時はカビの増殖を抑える「ミコナゾール硝酸塩」配合のシャンプーを選択する
  • 皮脂の分泌亢進につながる揚げ物やスナック菓子の摂取は出来るだけ避け、十分な睡眠をとって生活リズムを整える

ひこう性脱毛症の予防には、頭皮環境を清潔に保つことが重要です。そのために普段どのような点に気をつければ良いのかについて紹介します。

シャンプーを行う際に気をつけたいこと

洗い方の注意点

ひこう性脱毛症はかゆみを伴うため、シャンプーを行う時につい爪を立てたり、強くこすったりしてしまいがちです。しかし、頭皮を傷つけると炎症が起こりやすくなります。シャンプーを行う時には、爪を立てずに優しく洗うようにしましょう。また、耳の後ろなどは洗いが不十分になりやすいため、意識してしっかり洗うようにしましょう。

シャンプー選びの注意点

人によっては、シャンプーによる刺激が症状を悪化させると誤解して、シャンプーを使わずにお湯だけで髪の毛を洗い流しているかもしれませんが、皮脂はお湯だけでは十分洗い流せません。そのため、ひこう性脱毛症の予防や治療には、適切なシャンプーを選択することも重要です。
症状がある時に限らず、予防を目的としても「ミコナゾール硝酸塩」を含むシャンプーの使用が推奨されます。ミコナゾール硝酸塩を含むシャンプーは、頭皮のふけの原因となるカビ(真菌)を洗い流し、増殖を抑えてくれます。

ミコナゾール硝酸塩を含んだシャンプーには、次のような商品があるので参考にしてください。
製品名 コラージュフルフルネクスト
製造会社 持田ヘルスケア株式会社(持田製薬グループ)
金額(税込) 1,728円(200mL)、3,240円(400mL) ※詰め替え用あり
参考URL http://karadanokabi.jp/cfn/index.html

製品名 メディクイックH
製造会社 ロート製薬株式会社
金額 オープン価格(200mL、320mL) ※詰め替え用あり
参考URL http://jp.rohto.com/mediquick-h/

これらの商品は医薬品ではないため、ドラッグストアやインターネットなどを通して購入出来ます。

食事・睡眠のポイント

揚げ物、スナック菓子、糖分を多く含むスイーツなどは皮脂の分泌を亢進させる原因となり、ふけを発生させて頭皮環境を悪化させてしまいます。また、睡眠不足や生活リズムの乱れも皮脂の分泌亢進につながります。
皮脂が過剰に分泌されないよう、皮脂の分泌亢進につながる食べ物は出来るだけ控え、十分な睡眠時間を取って生活リズムを整えるなど生活習慣の改善も意識して行いましょう。

参考

まとめ

「ひこう性脱毛症」がどのような脱毛症か、どのような治療や予防対策を行っていくと良いのか、理解していただけたでしょうか。
「ひこう性脱毛症」を漢字で書くと「粃糠性脱毛症」です。「粃糠」とは「ぬか」を指す言葉であり、症状の1つである「ふけ」を表したものだと考えられます。毎日シャンプーを行っているにもかかわらず、頭皮がかゆくてふけも出る、加えて髪の毛が細くなって抜け毛が増えたきた場合は、ひこう性脱毛症を発症している可能性があります。予防には、頭皮の清潔を保つことが重要であり、「ミコナゾール硝酸塩」を配合したシャンプーで丁寧に洗い、食事・睡眠などの生活習慣を改善しましょう。症状が出現した場合は、早めに皮膚科もしくは脱毛症専門のクリニックを受診することが大切です。症状に応じて、ステロイドやイミダゾール系真菌薬の外用や、ビタミンBの内服薬などを使って治療していきます。

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Okada
岡田 里佳 医師
TMクリニック院長、日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医、日本内科学会認定 認定内科医、日本リウマチ学会認定 リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定 アレルギー専門医

プロフィール

2008年名古屋市立大学医学部卒業。内科を中心に初期研修を行い、その後皮膚科へ進む。大学病院での勤務を経て、皮膚疾患を合併しやすいアレルギー・膠原病診療を経験するため、約3年間内科医として勤務。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医、日本内科学会認定内科医、日本リウマチ学会認定リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定アレルギー専門医を取得。2017年11月、誰にでも最適な医療を提供するためTMクリニック 皮フ科を開設。

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